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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

県内一部事務組合・広域連合の情報公開条例制定率、16年度中に4割まで向上の見通し 「奈良の声」調べ

奈良県内の広域連合、一部事務組合の情報公開条例制定状況
(2016年2月3日、「奈良の声」調べ)
分類 団体名 制定の有無・予定(○が制定済み) 開示請求できる人
広域連合 桜井宇陀広域連合    
県後期高齢者医療広域連合 何人も
一部事務組合 広域行政 葛城広域行政事務組合 2016年度中 検討中
飛鳥広域行政事務組合 2015年度中 何人もの予定
厚生福祉 老人福祉施設三室園組合    
王寺周辺広域休日応急診療施設組合 要綱(診療録などに限定) 診療録などの本人
国保中央病院組合 何人も
南和広域医療組合 何人も
環境衛生 県葛城地区清掃事務組合 2016年度中 検討中
宇陀衛生一部事務組合    
西和衛生試験センター組合    
上下北山衛生一部事務組合    
香芝・王寺環境施設組合    
山辺環境衛生組合    
南和広域衛生組合    
東宇陀環境衛生組合    
奈良広域水質検査センター組合    
静香苑環境施設組合    
やまと広域環境衛生事務組合 何人も
吉野広域行政組合 構成市町村住民
教育 川西町・三宅町式下中学校組合    
曽爾御杖行政一部事務組合 2015または16年度中 県市町村総合事務組合条例を参考に
防災 県広域消防組合 何人も
その他 青葉山組合    
奥山組合    
神野山組合    
県市町村総合事務組合 何人も
県住宅新築資金等貸付金回収管理組合    
全28団体 制定済み(数/全体比) 8団体 28%
制定予定含む(同) 12団体 42%

 市町村などが消防やごみ処理など事務の一部を広域で共同処理するため設ける一部事務組合や広域連合は奈良県内に計28団体。その情報公開条例制定率が2016年度中に4割まで向上する見通しであることが、「奈良の声」の調べで分かった。12年3月の調査では3割だった。

 一部事務組合や広域連合は、団体を構成する都道府県や市区町村などの負担金で運営され、地方公共団体の一つになるが、都道府県や市区町村に比べ、情報公開制度の整備が遅れている。奈良県、県内市町村で、情報公開条例が未制定のところはない。

 28団体の内訳は、一部事務組合が26、広域連合が2。「奈良の声」は1月29日から2月3日にかけ、前回調査で未制定だった団体を対象に、電話取材または団体ホームページの例規集の閲覧を行い、条例制定の有無を確認した。

 それによると、新たに条例を制定したのは、昨年4月施行の南和広域医療組合と、ことし4月施行予定の県市町村総合事務組合の2団体。制定は計8団体(要綱を含む)となった。

 南和広域医療組合は、県と五條市など12市町村で構成され、3つの病院を運営。県市町村総合事務組合は県内の市町村や一部事務組合で構成され、それらの退職手当支給事務などを行っている。

現時点は3割弱

 現時点の制定率は28%にとどまるが、さらに、飛鳥広域行政事務組合がことし3月に組合議会定例会に条例を提案するのをはじめ、葛城広域行政事務組合、県葛城地区清掃事務組合、曽爾御杖行政一部事務組合が本年度中または16年度中に制定を予定。この4団体を含めると制定は計12団体、制定率は42%となる。

 前回調査では、制定は33団体中11団体(総数は解散や再編で減っている)、制定率は33%だった。

 このほか、時期は未定だが制定の方向とする団体も、宇陀衛生一部事務組合など数団体あった。逆に制定の予定はないとする団体は、規模の小さい団体に多く、奈良広域水質検査センター組合は「検討が必要とは考えるが、予算規模は1億円ほど。水道水質検査などが仕事で、結果は市町村に請求できる」とした。

全国平均は下回る

 総務省の調査(14年10月)によると、全国の制定状況は、一部事務組合が平均47.5%、広域連合が同88.6%。同時期の奈良県は、一部事務組合19%、広域連合50%。現在の制定予定を含めても、一部事務組合は42%、広域連合は50%で、同全国平均を下回っている。

 また、情報公開条例の制定に当たっては、開示請求できる人の範囲を構成市町村の住民や利害関係者に限定したり、条例施行以前に作成された文書を開示の対象外とすると、制度の意義が低まる。

 この面では、制定予定の4団体のうち、葛城広域行政事務組合と県葛城地区清掃事務組合は、開示請求できる人の範囲について検討中としており、何人にも認めるのか住民に限定するのか不明。制定済みの団体では、吉野広域行政組合が、開示請求できる人を構成市町村の住民などに限定し、06年4月の条例施行前の文書は開示の対象外としている。【続報へ】

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