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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

御所・五條・田原本共同の新ごみ処理施設、周辺への環境整備補助金交付 要綱で義務付けた書類の一部作成されず

 奈良県御所市、五條市、田原本町でつくる「やまと広域環境衛生事務組合」(管理者・東川裕御所市長)が、御所市内に3市町共同のごみ処理施設を建設するに当たって、2013、14年、周辺3自治会に対し、環境整備事業補助金を交付した際、当時の同補助金交付要綱で自治会に提出が義務付けられていた書類のうち、事業完了報告書に添付する収支決算書と支払い報告書が作成されていなかったことが、「奈良の声」の調べで分かった。組合が不要と判断したという。

 また、15年4月には同要綱を改正、完了報告書の提出義務をなくし、補助金交付の手続きを簡略化していた。組合は、現実に沿った形に改めたと説明する。

 補助金交付の公正さや透明性の確保、行政文書の保存の点で後退だ。組合として保有していない文書は、組合情報公開条例による開示請求ができず、住民らの監視の目も届かなくなる。同組合は3市町の負担金で運営されており、補助金交付は組合と自治会の当事者間のみでなく、他の住民らにも内容を確認できるものでなければならない。

事業は23件、3億4600万円

 補助金は、同組合周辺地区環境整備事業補助金交付要綱に基づき交付される。対象は環境施設整備事業、環境保全団体の育成事業、生活環境の保全・向上に資する事業など。

 記者が組合への開示請求で同補助金の実績を確認したところ、13~15年、御所市栗阪、朝町、小殿の3自治会がそれぞれ申請した事業計23件に計約3億4600万円が交付された。事業は、太陽光発電装置の設置や集会所の建て替え、自治会館敷地の購入、住民の区費無償化、生活道路の拡幅・補修、水路の改修などだった。

 15年3月31日までの旧要綱では、自治会に対しては、事業実施計画書と収支予算書を添付した交付申請書、収支決算書と支払い報告書を添付した事業完了報告書の提出が義務付けられていた。旧要綱の下で完了した事業は15件あったが、いずれも完了報告書に添付すべき収支決算書と支払い報告書は作成されなかった。

 組合は、不要と判断した理由について「収支決算書は、交付申請書に添付されている収支予算書が代わりになる。支払い報告書は、自治会が立て替え払いをしているわけではないので、完了報告書提出時にはまだ支払いが行われていない。このため添付できなかった」とする。

 旧要綱が定めた支払い報告書の様式では、支払いの期日、項目、金額、相手先を記載するようになっている。作成されないと、こうした事実が行政文書として残らないことになる。交付申請書に、事業実施計画書や受注業者発行の見積書が添付されてはいるが、事業実施前のものだ。

要綱改正で完了報告書の提出義務もなくす

 一方、要綱の改正では、完了報告書の提出を義務付けた規定と、補助金の額確定の手続きを定めた規定をなくした。旧要綱では、組合は完了報告書の提出を受け、書類の審査や必要に応じて行う現地調査により、事業が補助金交付決定の内容に適合すると認めたとき、額を確定し、確定通知書で自治会に通知する、としていた。これを受け、自治会は交付請求書を提出していた。

 新要綱では、組合は必要に応じて事業の進捗状況の報告を求めることができるとし、完了報告書は収支決算書と支払い報告書を添付して自治会において保管する、とした。また、補助金の額確定の規定がなくなり、確定通知書の交付や交付請求書の提出を求めていないため、両文書は作成されない。組合には、交付決定通知より後の経緯が行政文書として残らなくなった。

 新要綱の下で完了した事業は2件ある。記者の開示請求に対し、旧要綱の下で完了した事業については、交付申請書、交付決定通知書、現場の写真を添付した完了報告書、確定通知書、交付請求書が開示されたが、新要綱の下で完了した事業については、組合として保有することがなくなった完了報告書の開示はなかった。

組合「補助金交付は地元への約束」

 組合は改正の理由について、「ごみ処理施設建設に当たり、補助金交付はもともと地元自治会への約束、組合と地元の総意である。当初の地元との交渉の経緯、接点を考えると、現実的な要綱」と説明する。

 公正さの確保などについては「要綱が変わったからといって、怠っているわけではなく、厳しく対応している。自治会に完了報告書を出してもらうこともできる。自治会には責任をもって報告書を保管してもらう。自治会に責任を持たせ、補助金の意義を踏まえてお金を使ってもらう」とする。

 一方、組合を構成する御所市や田原本町の補助金交付規則では、事業が完了したときの報告書の提出義務や、報告書の審査などによる補助金の額確定の手続きについて、明確に規定している。

 新しいごみ処理施設は、御所市栗阪の市クリーンセンターを解体した跡地で建設が進められている。以前の市クリーンセンターは09年、栗阪自治会に約束していた操業期間の15年を迎えたが、操業を停止できず、以降4年間、操業が延長された。組合のごみ処理施設への建て替えで、再び、同所での操業が続くことになった。完成予定は17年3月。自治会との協定では、操業期間は20年間の予定。【続報へ】

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