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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

御所の3市町共同ごみ処理施設建設に伴う 自治会への環境整備補助金 未完了事業の期限を問わず 会計規律に課題

ごみ処理施設建設に伴う環境整備事業補助金で新築が計画されている小殿公民館。実施時期は未定だ=2016年5月12日、御所市小殿

ごみ処理施設建設に伴う環境整備事業補助金で新築が計画されている小殿公民館。実施時期は未定だ=2016年5月12日、御所市小殿

 奈良県御所市、五條市、田原本町でつくる「やまと広域環境衛生事務組合」(管理者・東川裕御所市長)が、御所市内に3市町共同のごみ処理施設を建設するに当たって、地元対策として設けた周辺地区環境整備事業補助金制度に基づき、周辺3自治会が2013~15年度に計画した事業のうち、一部が当初の実施予定年度を越えて未完了であることが、「奈良の声」の調べで分かった。

概算払い精算できず

 いずれも交付の名目が概算払いとなっており、組合の会計事務について定めた組合財務規則に照らせば、額を確定して精算する必要がある。しかし、組合は自治会に対し、事業の完了時期の提示を求めていない。会計事務の規律を乱すことにつながらないか。補助金を負担した3市町の住民にも、組合の対応は分かりにくい。

 「奈良の声」が組合の情報公開制度に基づいて開示を受けた、同補助金交付の関係文書などによると、御所市栗阪、朝町、小殿の3自治会が同補助金制度に基づき計画した事業は計23件で、交付総額は3億4687万円。

 組合や各自治会によると、未完了となっているのは、栗阪の太陽光発電装置の設置(交付額2億円、2013年4月交付)▽朝町の公民館敷地の取得など(同1920万円、13年6月交付)▽朝町の公民館用駐車場の用地購入・整備工事(同2050万円、15年5月交付)▽小殿の公民館新築(同4000万円、13年6月交付)の4事業。

収支予算書の執行予定年度越える

 いずれの事業も、自治会が補助金交付申請書、事業実施計画書と共に提出した収支予算書では、補助金が交付された年度に予算(補助金)を執行する記載になっていた。しかし、実際には、交付から3~1年が経過した現在も完了に至っていない。

 組合はこうした実態を踏まえ、2015年4月、同補助金交付要綱を改正して、交付に関する義務や条件を緩めている。事業の完了報告書の提出義務をなくし、自治会での保管にとどめた。補助金の交付対象となる事業について「複数年度にわたる事業を含む」との規定を追加した。

 改正では、計画の変更も可能にしている。旧要綱にはこの規定がなかった。栗阪は、当初の計画では2億円で同自治会の約100世帯各戸に浄化槽を設置するとしていたが、世帯の半数が既設であるなど地区の実情に合っていないことが分かり断念、15年4月に計画変更の承認申請をしている。

組合「期間延長、計画変更に当たらない」

 組合事務局は取材に対し、事業が当初の実施予定年度を越えても、計画の変更には当たらないと説明する。このため、期間延長などの計画変更の承認申請も不要とした。しかし、事業がいつ完了する予定なのか示されないと、補助金が当初の交付申請通りに使われるかどうかの問題が生じる可能性もある。概算払いの名目で交付された補助金の額の確定や精算など、必要な会計事務の手続きもいつになるか分からない。

 行政機関の補助金交付制度では、完了報告書の提出義務があるのが一般的とみられる。組合を構成する御所市や田原本町の補助金交付規則にはこの規定がある。また、御所市の規則には、補助事業が予定の期間内に完了しない場合または補助事業の遂行が困難となった場合、事業内容変更承認申請書を市長に提出し、承認または指示を受けなければならない、との定めもある。

自治会、完了時期を示せず

 今月12、13日の各自治会への取材では、事業の完了時期は未定とみられた。

 栗阪の太陽光発電装置の設置は、売電収入を自治会活動に活用するのが目的。2015年度は2566万円を投じて、集会所屋根と自治会借地に設置した。事業実施計画書によると、本年度は7000万円の予算で、3000平方メートルの借地に設置する計画だが、自治会長によると、売電に対する需要があるかどうか関西電力に問い合わせをしている段階。17年度以降も残る1億1000万円を充て、順次、設置を進める予定だが、具体化できるかどうかは不確定といえる。

 朝町の公民館敷地の取得や公民館用駐車場の用地購入・整備工事も、現時点では計画は進んでいない。自治会長は「相手のあることであり、値段のこともある」とした。また、事業の完了時期については「組合が要綱を改正して、完了報告書や収支決算書を出さなくてもよくなった」と述べ、期限がないとの認識を示した。

 小殿の公民館新築も実施時期は未定。自治会長は「将来、実施する計画はあるが、時期は決まっていない。当面は年内に現公民館の補修を行う。補助金にいつまでという期限はない」と述べた。一方、補助金の一部を区費の補填(ほてん)に充てる計画があることも明らかにした。計画の変更について「組合に伝えている」と説明したが、組合事務局は「申請はない。自治会に確認する」とした。組合は使途の変更を把握していなかった。

背景に地元対策の側面

 補助金の扱いをめぐる問題の背景には、ごみ処理施設の地元対策という面があるとみられる。組合のごみ処理施設は、栗阪にあった御所市のごみ処理施設を解体した跡地で建設が進められている。同施設は稼働当時の2009年、市が栗阪自治会に約束していた操業期間の15年を迎えたが、操業を停止できず、以降4年間、操業が延長された。組合ごみ処理施設への建て替えで、再び、同所での操業が続くことになった。

 朝町の自治会長は「ごみ処理施設はどこかへ持っていってほしかったが、渋々受け入れた」と心中を語った。

 栗阪への補助金交付に対し、2015年11月、住民監査請求があった。2億円のうち太陽光発電装置の設置が具体化していない残額について、自治会に返還請求することを求めたもの。監査請求は棄却されたが、栗阪の自治会長は取材に対し、「組合と30回以上の会議をやった上で、組合との契約でもらったもの」と、全額が正当な補助金であることを強調した。

 組合事務局はこれまでの取材で、「補助金交付はもともと、ごみ処理施設建設に当たっての地元自治会への約束」と説明しており、事業の完了時期についても厳しく問うていないものとみられる。交付要綱の改正についても自治会との関係を重視、「現要綱の方が実態に即している。完了報告書の提出義務など、明文化されていない点は自治会との信頼関係に基づいている。そこをご理解いただきたい」とした。

 現要綱は、補助事業者に対し、事業の進捗(しんちょく)状況の報告を求めることができるとしており、組合事務局によると、完了報告書の提出も求められるという。また、自治会に対しては、交付金の残高が確保されているか、必要に応じて確認も行っているという。【続報へ】

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