県葛城地区清掃事務組合議会、傍聴者に閲覧用議案 記者の申し入れで対応
大和高田市など8市町のし尿処理などを行っている奈良県葛城地区清掃事務組合(管理者・東川裕御所市長)は、ことし2月の組合定例議会で、傍聴席の傍聴者ために閲覧用の議案を用意した。耳で聞いただけでは分かりにくい議案審議の内容を理解するのに役立った。
閲覧用の議案は当初、予定になかった。記者が、議案の一つだった情報公開条例案について取材するため、議会当日の条例案閲覧を事前に申し入れたところ、組合が対応した。傍聴者の行動が、議会をより開かれたものにしていく力になる。
議会は2月22日、御所市僧堂の組合庁舎で開かれた。2016年度補正予算案や17年度予算案、情報条例案など10議案が提案され、可決された。傍聴者は記者を含め2人。閲覧用の議案は傍聴者ごとに用意された。閉会後は返却を求められた。
組合は当初、記者の条例案の写しの提供か閲覧という申し入れに対し、定例会は公開で行われ、傍聴が可能として、難色を示していた。しかし、議案が手元になければ、どのような内容の議案が審議されているのか理解するのは困難。記者は、地方自治法が定める議会の会議公開の原則に対し、実質が伴わないと訴えた。
実際、この日の議会で東川管理者が行った議案説明でも、17年度予算案の数字が次々と読み上げられていったが、耳で聞いただけで分かるものではなかった。情報公開条例についても、開示請求権は組合構成市町の住民だけに認めるのか、それとも何人にも認めるのかといった肝心な点があるが、内容が朗読されることはなかった。
同じ一部事務組合では、奈良県市町村総合事務組合の議会を15年2月まで、数回にわたって傍聴したが、傍聴者に議案を提供したり、閲覧用議案を用意したりすることはなかった。組合は閉会後、閲覧の求めに応じたが、承諾を得るのは容易ではなかった。
一部事務組合は特別地方公共団体と呼ばれ、都道府県や市町村と同じ地方公共団体の一つだが、議会の傍聴者の数はおおむね少ないとみられる。奈良県や奈良市などは議会開会前に提案予定の議案をホームページで公開している。【関連記事】