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浅野善一

県が大渕池公園を再整備 開園から40年以上、老朽化で 近年には奈良市に移管打診した経緯も

奈良県立大渕池公園西地区。右奥はバリアフリー化が図られたトイレ。手前は停止したままになっている噴水=2026年1月20日、奈良市大渕町、浅野善一撮影

奈良県立大渕池公園西地区。右奥はバリアフリー化が図られたトイレ。手前は停止したままになっている噴水=2026年1月20日、奈良市大渕町、浅野善一撮影

 奈良県は、奈良市の県立大渕池公園の再整備に着手した。駐車場の拡張や体育館へのエアコン設置、池を眺望できるデッキの設置などを行う。1980年代の開園以来、40年以上、本格的な改修が行われておらず、施設の老朽化が課題となっていた。近年は「利用が地元に限られている」として奈良市に公園の移管を打診するなど、県営公園として維持していくことに関心が低い時期もあった。

奈良県立大渕池公園西地区の拡張が予定されている駐車場=2026年1月20日、奈良市大渕町、浅野善一撮影

奈良県立大渕池公園西地区の拡張が予定されている駐車場=2026年1月20日、奈良市大渕町、浅野善一撮影

 同公園は、学園前と呼ばれる奈良市のベッドタウン地域に位置。宅地開発が進む中、1980~84年に開園した。ため池の大渕池を中心に東地区、西地区、池地区の三地区から成り、広さは合わせて23.5ヘクタール。樹林の中に広場や遊具、園路、運動施設などが整備されている。利用者は近隣住民が中心という。公園の維持管理は県が指定管理者に指定している団体に委託している。

 山下真知事は先月24日の定例会見で同公園の再整備について発表した。この中で「昭和50年代のオープン以来、一度も改修等の整備は行われていないと聞いている」と述べた。県公園企画課は取材に対し「大規模なリニューアルをしていないということ」と補足した。

 県は再整備に当たって県民が求めるものを把握するため、県のオンラインサービス「奈良スーパーアプリ」を利用してアンケート調査を実施した。市内や隣接する生駒市などの住民ら800人余りから回答があった。意見として多かったのが駐車場の拡張やトイレのバリアフリー化、体育館へのエアコン設置などだった。新たに望む施設・サービスでは飲食店やイベントが多かった。来園手段は車が約7割を占め、利用目的は「親子での遊び」「散策」が多かった。

 再整備の計画によると、東地区では体育館へのエアコン設置、駐車場の拡張(現在38台)、西地区では駐車場の拡張(現在29台、本年度中に着工、工事費約8700万円)を予定。駐車場はいずれも収容台数を2~3倍に増やす。池地区では現在あるテニスコート2面を正規の規格にしたり、池を眺望できるウッドデッキを設けてそこにベンチを置いたりするほか、休憩施設や遊具の整備も予定している。西地区の停止している噴水はどうするか未定という。

 併せて県内の県営都市公園5カ所に共通する取り組みとなるが、「ぬくもりあふれる公園プロジェクト」により施設のバリアフリー化も進める。東地区のトイレ2カ所と西地区のトイレ3カ所で授乳室、オストメイト対応多目的トイレ、ベビーチェアなどを設置する。西地区の1カ所は先月末から利用が始まっている。建設費は約6500万円だった。また、各駐車場に車いす利用者などを優先する区画「おもいやり駐車場」を整備する。

 再整備、同プロジェクトいずれも2028年度末までの完成を目指している。

 一方、同公園の維持を巡って県が奈良市に移管を打診したのは前知事時代の2017年。市に対し「公園は市が管理することが望ましい」と伝えた。市は当初、前向きに検討したが、最終的には「市として公園の維持管理は財政的に困難」と判断、2019年、公園の引き取りはできないと県に伝えた。この経緯は「奈良の声」が2021年3月に報じている。県公園企画課は1月20日、取材に対し「県営公園として引き続き維持していくには再整備が必要」と述べた。

 県は今回の再整備の一方で、2022年、池地区に隣接する西奈良県民センター跡地(県有地)について、売却に向け大渕池公園の都市計画区域から除外している。住民でつくる「同跡地利用を考える会」は、跡地の売却中止と防災施設を兼ねた公共施設の建設を求めて、県、奈良市に申し入れを続けている。県が市に公園の移管を打診した際には同跡地も含まれていた。

筆者情報

西奈良県民センター跡地の売却中止求め、県へ署名2969人分 住民団体、知事交代受け2回目

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