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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

生駒市が女性の生活保護開始を決定、謝罪も 申請却下取り消しの県裁決受け

生駒市役所=2021年12月15日、同市東新町生駒市役所=2021年12月15日、同市東新町

 奈良県生駒市が1人暮らしの50代の女性が行った生活保護申請を、母親から扶養の意思を確認できたとして却下した問題を巡り、女性が県に却下処分の取り消しを求めた審査請求で市の却下処分を取り消す裁決が出たことを受け、市は27日、女性に謝罪するとともに保護開始を決定した。

 市が同日、市政記者会に発表した。「奈良の声」は28日、市から報道資料の提供を受け、市生活支援課に取材した。

 報道資料などによると、市は今年4月、女性の生活保護申請を「親類による引き取り」ができるものとして却下した。これに対し、女性は7月、県に審査請求。県は「母と同居できたかを確認する前に却下処分を行った」「健康で文化的な生活ができるかどうか、母の資力を調査しなかった」ことなどを理由に、今月14日付で市の却下処分を取り消す裁決をした。

 市は、裁決を受けて今年4月の保護申請を再審査、同月にさかのぼって保護開始を決定した。市は、女性が今年10月、奈良地裁に緊急的に仮の保護開始を市に義務付けるよう申し立てたのを機に、11月から保護を開始しており、保護費の支給に当たっては、4月から11月までについて、得ていた仕事の収入を認定した上で来年1月中に行う予定という。

 市生活支援課は「母親が扶養の意思を示した際、能力もあると認識してしまった。十分に調査を行わず、保護申請を却下し、安心して生活できる環境を損なわせたことを深くおわびする。研修などで保護制度の理解を深め、適正な対応ができるよう取り組んでいく」とした。

 女性側の西村香苗弁護士は市の謝罪があったことを評価した上で、「当然の結果。生駒市が保護行政の改善に向け真摯(しんし)に対応していただくことを切に願う」と話した。

 一方で同弁護士は、県裁決の却下処分取り消しの理由について不満も述べた。77歳の母親に扶養義務があるとの前提で資力の調査が不十分とされたことについて「国は、70すぎの高齢者について扶養できるほどの資源にはならないカテゴリ―としている。一般化されることがあってはならない」と述べ、また、親族による扶養についても「ないことが保護開始の要件にはならない」とした。 続報へ

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