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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

経緯説明不十分、県民グループ不満 県などが要望書に回答 近鉄奈良駅前行基広場の大屋根計画

 奈良市の近鉄奈良駅前行基広場に県が大屋根を計画している問題で、県道路・交通環境課と奈良市は、県民らでつくる「LOVE! NARA!(ラブ・ナラ)」(大八木恵子発起人代表、18人)が計画の再検討や経緯説明を求めて提出した要望書に回答。同グループが20日、内容を明らかにした。県の回答は、計画がいつ、誰がかかわってどのように具体化していったのかなどに触れておらず、すでに明らかにされている内容にとどまった。大八木代表らは経緯説明などが不十分と受け止めており、「がっかりした」と不満を見せている。

 県の回答は、経緯について「奈良県では、奈良観光の玄関口である近鉄奈良駅周辺において、県民や観光客等の方々の利便性の高い環境づくりを進めたいと考えており、待合い空間としての機能向上を図る取組の一環として、昨年度に、行基広場における交通環境の検討を実施しています」と答えるにとどまり、要望書が求めていた「いつ、誰が」の具体的記述はなかった。屋根設置について公式な要望書はないともした。

 計画の再検討については、大屋根の是非も含め、県が実施中のパブリックコメントの結果を踏まえて今後の方針を決定したいとした。

 一方、行基広場を管理している奈良市の回答は、市民から大屋根の要望があったことはなく、市として検討したこともなかったとし、県が建設の方向で検討しているものを否定できないなどとした。
大八木代表は「県の回答は、県がホームページに掲載したパブリックコメント募集の文面とほぼ同じ。こちらの質問を数項目ずつまとめて答えているが、一つ一つ丁寧に答えてほしかった」とする。

 同代表らは「パブリックコメントの9月1日締め切りは早すぎる。ホームページ中心の県民への周知方法も不十分」として、近くパブリックコメントの期間延長と募集案内の県広報紙への掲載を要望する予定という。

 大屋根をめぐっては、先月9日、設計の入札の公告で計画の存在が明らかになった。古都奈良の玄関口の景観に影響することや、県民が事前に計画を知る機会がなかったことから、県民の間から反対意見や県の事業の進め方に対する批判が出た。県は同月21日、「敷地内の地下埋設物について精査の必要が生じた」として、突然、入札を中止。「LOVE! NARA!」は同月23日、県と市に要望書を提出した。県はパブリックコメントの実施を決め、今月2日から大屋根に対する県民の意見を募集している。

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