奈良県)奈良市西ふれあい広場問題 土地取得直後に計画縮小案 96年、順序逆転にずさんさ
住民訴訟が起こされている奈良市の西ふれあい広場用地取得問題で、1996年、市が市土地開発公社に用地の一部として、6700平方メートルの土地を2億2千万円で取得させた直後に、同土地を広場の計画域から外す縮小案が検討されていたことが、「奈良の声」の調べで分かった。
計画策定より土地取得が先行する順序の逆転に計画のずさんさが見える。縮小案は最終的に採用されなかった。市の同広場計画をめぐっては、土地の買い取りありきで進められたとの指摘がある。
広場の基本計画は94年3月に策定された。同市二名7丁目の山林を造成して、福祉センターや体育館、ゲートボール場、野球場、アスレチック広場、水辺の広場などを備えた公園を建設するとした。
しかし、広場を都市計画道路一条富雄線の予定ルートが縦断する形になっていたため、96年3月、同ルートを広場の北側に迂回(うかい)させる見直しが行われた。縮小案はこれを原案に、同年11月に策定された。面積を8万7000平方メートルから5万6800平方メートルに狭め、体育館とアスレチック広場を外した。
一方、用地の取得は94年2月に始まり、縮小案が策定された96年11月までの取得面積は3万4300平方メートル、取得金額は13億5550万円に上った。このうち、96年2月に2億2200万円で公社に取得させた山林6700平方メートルが、縮小案では計画域に含まれなかった。
この山林部分は、最終的に採用が決まった縮小前の原案でも公園施設の立地がなく、必要だったかどうかについて疑問が残る。
用地取得は基本計画策定の後に着手するのが順序ではないか。縮小案が検討された理由、またこれが採用されなかった理由について、市公園緑地課に聞いた。同課は「当時の職員がほとんど残っておらず分からない」とした。
西ふれあい広場計画は、地元の地主が91年、障害者福祉のためにと市に寄付した山林内の土地約2000平方メートルが発端となった。土地に進入路がなかったことから、周辺の土地を買い足して公園にする計画に発展したが、周辺の土地も大半がこの地主の所有だったため、94~2000年、同地主から約4万1000平方メートルを約16億円で取得する結果になった。しかし、計画は頓挫し、土地は塩漬けとなった。訴訟で住民側は、計画は地主の土地を買い上げるためだったと訴えている。
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