県庁の職員食堂改修 営業は開庁日のみ、観光拠点レストラン掲げず 食事提供事業者の公募要領を公表
奈良県は県庁職員食堂の改修に伴い、4日までに、食事を提供する民間事業者の公募要領をホームページなどで公表した。県は、奈良市の奈良公園に隣接する県庁舎の観光拠点化を打ち出し、職員食堂改修についてこれまで、「県庁舎6階に眺望の良いレストランを整備する」としてきたが、今回の公募要領では、営業は開庁日の平日のみ、目的は「職員の福利厚生」とし、観光への言及はなかった。
県庁舎の観光拠点化をめぐっては、県庁が市街化調整区域にあることから、昨年3月に職員の福利厚生施設を名目に設置された、コンビニエンスストアの年中無休営業やアルコール飲料の販売に対し、奈良市などから都市計画法に抵触する恐れがあるとの指摘が出ており、レストラン整備についても県の対応が注目されていた。
職員食堂は昨年3月まで県職員互助会の運営で営業していたが、現在は閉鎖されている。
県管財課や公募要領によると、営業時間は午前11時から午後2時までの昼食時間帯を必須として、県と事業者が協議して午前7時30分から午後8時までの間で決める。早朝は当直職員への軽食の提供、夜は残業職員への食事の提供を想定しているという。昼食時間帯以外の座席は、打ち合わせなど多目的に使えるオープンスペースにする。事業者には、定食や麺類、丼物が選択できるメニューや、職員が利用しやすい価格帯、官公庁や企業、病院、福祉施設での実績を求めている。アルコール飲料の提供はできないとしている。
2012年の県庁観光拠点空間づくり基本計画策定では、県庁内に観光に必要な機能を付加するとして、レストランやコンビニ、カフェなどの設置を想定した検討や、開庁時間外の一般利用サービス提供を前提にした庁舎管理の検討が行われた。職員食堂改修は、14年度当初予算案の奈良公園施設魅力向上事業では「県庁舎6階に眺望の良いレストランを整備」との名目で、関連事業費が計上されていた。コンビニの場合、出店者公募要領は目的に観光交流拠点づくりを掲げていた。
職員食堂改修はこれまで県奈良公園室が担当してきたが、今回の事業者募集は管財課が担当している。同課は「職員食堂という性質から開庁日の平日の営業を考えている。福利厚生施設という目的、性格は奈良公園室で取り組んでいたときから変わっていない」とした。
事業者の決定は9月中旬ごろの予定。職員食堂の再開は、改修工事などを経て、早ければ17年春ごろの予定という。