奈良の一条高校図書館、明るく柔らかな空間に 赤木かん子さんの改装終わる
改装で明るく柔らかな空間に生まれ変わった奈良市立一条高校図書館。本棚の分類表示も一目で分かるようなものにした=2016年2月17日、同市法華寺町
改装前の一条高校図書館。左の柱の右隣は改装後、メーンストリートと呼ばれる空間に変わった=同校提供
奈良市法華寺町の市立一条高校(池住寿弘校長、1073人)の図書館で行われていた、児童文学評論家赤木かん子さん(東京都在住)による改装がこのほど終了。室内は開架の本の数を大幅に減らすなどしたことで、明るく柔らかな空間に生まれ変わった。同時に各分野で入門的な本をそろえるなどの工夫もした。生徒が図書館に足を向ける機会が増えているという。
同校によると、以前の開架の本の数は約3万7000冊だった。本棚に本がぎっしり詰まっている状態だった。改装により約2万冊を閉架に移した。本棚にゆとりを作り、表紙を見せて並べる面出しを積極的に取り入れた。表紙に動植物などの美しい写真が使われている、自然科学系の本が並ぶコーナーも作った。
分野ごとに入門的な本を新しく購入した。いろいろなことに興味を持ってもらうためという。「マンガで読破」の新コーナーには、文学の名作や日本国憲法、般若心経などの題の本が並んだ。
本の分類の仕方も工夫した。課題別のコーナーを新設した。戦争のコーナーには「ヒロシマ」「ナガサキ」に関わる本が並ぶ。原発事故に関わる「フクシマ」「チェルノブイリ」もある。奈良のコーナーには、奈良出身の作家の本、奈良が舞台の本などを集めた。小説は著者別だった陳列を、ミステリーやSFなど種類別に改めた。
本棚の分類表示は、象徴的な図柄と大きな文字で一目で分かるようなものにした。生徒の興味を引くようさまざまな配慮がされている。本棚も規則的な配列をやめ、室内の中央にメーンストリートと呼ばれる空間を設けるなどした。
同図書館の司書、相川雅代さんによると、空間が柔らかく感じられ、明るい雰囲気になったという。また、本の分類の仕方や並べ方を変えることで、良い本や資料がたくさんあることを確認できたことも成果という。
相川さんは生徒の反応について、「図書館をよく利用する生徒も喜んでいる。改装が校内で話題になり、訪れる生徒も増えてきている」と話す。生徒の興味のある本を入れたり、新しい分野が増えることを想定して、本棚には余裕を持たせてあり、「生徒が自身の力で一条高校の新しい図書館を作り上げていってほしい。勉強の場だけでなく、コミュニケーションの場としてたくさんの生徒に利用してほしい」と期待した。
赤木さんは学校図書館の改装で実績があり、市教育委員会が同校図書館の活性化や生徒の利用増を期待して招いた。改装作業は1月末から10日間掛けて行われた。