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浅野善一

副町長が自民地元支部の政治資金報告書作成手伝い 奈良県安堵町、前任者から引き継ぐ 行政の中立性は?

政治資金収支報告書の様式。左下方に事務担当者名の記入欄がある(赤線は「奈良の声」による)=奈良県ホームページから

政治資金収支報告書の様式。左下方に事務担当者名の記入欄がある(赤線は「奈良の声」による)=奈良県ホームページから

 奈良県安堵町の副町長が自由民主党安堵町支部の政治資金収支報告書の作成を手伝っていたことが分かった。副町長の任務として前任者から引き継いだという。特別職の公務員である副町長には、政治的行為を制限した地方法務員法は適用されないが、特定の政党への協力が慣例になれば、町行政の中立性を疑われかねない。

 富井文枝副町長は「奈良の声」の取材に対し、2025年分の収支報告書を最後に「今は(作成の手伝いを)していない」とし、将来、後任の副町長にも引き継がないと明言した。富井氏は2022年10月、副町長に就任、現在1期目。

 政治資金収支報告書は政治資金規正法に基づくもので、政治団体の1年間の収入、支出を記載、毎年、その年の翌年3月末までに都道府県選挙管理委員会に提出しなければならない。保存年限は3年で、奈良県では2024年分まで直近3年間の報告書が県ホームページで公開されている。

 「奈良の声」は、同支部の2021年から2024年まで4年分を公開期間中に確認した。報告書の1枚目に代表者名、会計責任者名に続いて、事務担当者の氏名を記入する欄があり、2022年分、2023年分、2024年分に富井副町長の名前、2021年分には富井氏の前任で当時副町長の堀口善友氏(副町長在任期間2018年10月~2022年9月の1期4年)の名前があった。

 富井副町長は取材に対し「年1回、(同支部の)収支の計算的な書類を作成して提出するお手伝いをさせていただいた」と述べた。いつから、どのような経緯で副町長が報告書を作成することになったのかについては「不明」とした。

 堀口氏から副町長の任務を引き継ぐ際、報告書の作成について「従来からのこと」と伝えられたので、「そのまま引き継いだ」という。副町長の引き継ぎはいろいろあるが、その一つだったとする。

 堀口氏の前任の副町長(在任期間2010年10月~2018年9月の2期8年)が事務担当者を務めていたかどうかについては、当時の政治資金収支報告書からは保存年限が過ぎているため確認できなかった。

 政治資金規正法で、政治団体の設立に当たって届け出義務があるのは代表者名と会計責任者名で、政治資金収支報告書の事務担当者名は含まれない。県選挙管理委員会事務局によると、事務担当者は報告書の記載内容の問い合わせ先という位置付けで、記入も任意。ウェブ上で公開されている宮崎県選挙管理委員会の政治資金収支報告書作成の手引きは、事務担当者は政治団体以外の人でも構わないとしている。

 「奈良の声」は同支部の代表者平山亘氏に取材を申し入れた。

 平山氏は町内にある不動産会社の代表を務める傍ら、長年にわたり町行政に関わってきた。不動産会社のホームページによると、旧安堵村都市計画審議会委員、町同和対策事業特別委員会委員長、町政策会議顧問、町農業委員会会長などを歴任した。

 県公報で確認できる県選挙管理委員会告示によると、平山氏は2004年から代表者を務めている。平山氏の代表者就任と同時に会計責任者に就任したのは柿本幸一氏。2011年まで会計責任者を務めたが、当時の町助役(副町長の前身、在任期間2001年9月~2007年3月)の名前と一致する。現在、会計責任者については前町議会議員が務めている。

 平山氏への取材の申し入れは同氏の不動産会社を通じて行った。質問文書を受け取ってもらったが、「必要があれば、こちらから連絡する」との対応で取材はかなわなかった。

 特定の政党との関係によって町行政の政治的中立性を疑われるようなことは避けた方がよくないか。富井副町長は「奈良の声」の質問に対し「そういうご意見も、もっともかと思う。否定もしない。深く受け止めてまいりたい」と述べた。

 2010年から町長を務め、副町長を選任する立場である西本安博町長に対し、窓口の町総合政策課に質問文書を預けて取材を申し入れたが断られた。同課長によると、町長は「同様の質問に対しては副町長からお答えしており、(私から)お答えすることはない」と話したという。

 安堵町は衆議院選挙では第二区属し、公開されている同支部の政治資金収支報告書の最新の2024年分では、党費を収めた党員の数は45人。このほかの収入には自由民主党奈良県第二選挙区支部からの交付金14万5000円があった。一方、支出では組織活動費として13万6000円が計上されている。

筆者情報

追跡)奈良県安堵町の産廃処理補助金を巡る問題 住民訴訟判決を経て浮かぶ注目すべき点

奈良県安堵町役場=2026年5月22日、同町東安堵、浅野善一撮影

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