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地域の身近な問題を掘り下げて取材しています

発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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色鮮やかな野鳥)目立って求愛、縄張り誇示/連載 野鳥~自然を生きる知恵・与名正三…5

巣箱で待つヒナに餌を届けるブッポウソウ

巣箱で待つヒナに餌を届けるブッポウソウ

水面に集まるオシドリ

水面に集まるオシドリ

水面を浮遊するトモエガモ

水面を浮遊するトモエガモ

シイの実をくわえ、枯れ木に止まるルリカケス

シイの実をくわえ、枯れ木に止まるルリカケス

広葉樹の先端に止まるチョウゲンボウ

広葉樹の先端に止まるチョウゲンボウ

 日本で観察される野鳥は、およそ670種類。その中の多くは、体色が地味な野鳥たちです。その理由は、あまり派手な色彩だと目立ち、天敵のヘビやカラス、猛禽(もうきん)などに狙われやすいからだと考えられています。特に抱卵を行うメスのほとんどが、地味な茶褐色をしています。とすれば、そのような危険を伴ってでも派手な色彩を持つ意味があるだろうかと、疑問に思えるときがあります。

 例えば「オシドリ」のオスは、イチヨウの形をした派手な飾り羽で全身を覆っています。繁殖期、巣の近くでオスがうろつくと、天敵からメスやヒナが狙われやすくなって危険です。世間では仲が良いように思われているオシドリですが、子育てはもっぱらメス任せです。

 水鳥の中には、歌舞伎役者が顔面に隈取(くまど)りを施したような色彩の「トモエガモ」がいます。冬鳥として日本にやって来ますが、トモエガモの場合は、繁殖地での求愛行動や縄張りの誇示のため、派手な色彩になっていると考えられています。

 日本にやって来る夏鳥はヤイロチョウやキビタキなど、冬鳥に比べ、色鮮やかな色彩の野鳥が多いように思われます。中でも「ブッポウソウ」は全身が光沢のある濃緑色。くちばしが真っ赤で、両翼の中央には白い班があります。近年、繁殖環境の悪化で営巣できる樹洞が無くなり生息数が減少したため、岡山県や広島県などでは巣箱を設置して保護増殖に努めています。

 また奄美大島だけに生息する天然記念物「ルリカケス」も、色鮮やかな野鳥の一例ではないでしょうか。瑠璃色の顔面と紫色がかった茶色の体色は、亜熱帯の森ではひときわ映え、求愛や縄張りの誇示に適していると思われます。

 幾つかの例を紹介しましたが、最後にハヤブサの仲間「チョウゲンボウ」のお話をしてみたいと思います。

 本来猛禽の仲間は、捕食する生き物に気配を感づかれないように、自然に溶け込んだ地味な色彩(保護色)をしています。しかしチョウゲンボウは、頭部は灰色。背面や腹部はピンクに近い茶褐色をしています。例年、繁殖は断崖などで巣穴を利用し、小鳥やネズミなどを餌に子育てを行っていました。

 ところが近年、道路開発や宅地開発などによって繁殖地は減少しています。そこで、近ごろはビルの換気口や橋桁の隙間などに営巣するようになってきました。環境の変化に適応し、ビルの屋上やアンテナ、電柱などに止まり、獲物を探しています。現在のような都市環境は、チョウゲンボウの鮮やかな色彩はうってつけだと思われます。(よな・しょうぞう=野鳥写真家、月1回更新予定)