平群メガソーラー訴訟で奈良県、上告せず 高裁の開発許可取り消し命じる判決受け 業者は最高裁へ

メガソーラー建設現場で雨の中、作業する人たち=2026年7月1日、奈良県平群町、浅野詠子撮影
奈良県平群町の山林で建設が進む大規模太陽光発電所(メガソーラー)を巡って土砂災害などを懸念する住民が県の開発許可取り消しを求めた訴訟の6月18日の控訴審判決で、大阪高裁が県に許可の取り消しを命じたことを受け、山下真知事は7月6日、上告しないと発表した。
一方、知事によると、参加人として裁判に関与した建設主体の協栄ソーラーステーション合同会社(東京都港区)はこの日までに最高裁に上告している。知事は6月29日、同社に対し、県が上告しない方針であることを伝えていたという。このため、県が2023年2月、荒井正吾前知事が行った許可が違法かどうかは、最高裁の判断を待つにことになる。
建設地の周辺では過去49年間、県基準の10時間総雨量147ミリを上回る日が5回、観測されていた。高裁は判決理由で、同社が県基準を基に設置した洪水調整池の容量について合理性を欠くとした。知事は「説得力ある判決」と述べた。
知事によると、県が判決後、独自に、建設地に最も近い生駒山観測所の月最大24時間降水量の過去50年分を、気象庁のホームページを基に追跡したところ、県基準の総雨量147ミリを超える日が10回あったという。これらのことも上告をしない判断理由の一つになった。
知事は今後、大和川水系流域における山林開発などに伴う県の許可基準を見直す方針を明らかにした。
建設地では太陽光のパネルを置く場所の造成と洪水調整池の建設は完了し、同池に水を引き込む排水路工事などが継続中という。
住民が会見

メガソーラーに反対し、裁判に取り組んだ住民らが知事の「上告しない」との発表を受けて会見=2026年7月6日、奈良市内、浅野詠子撮影
裁判を支援した「平群のメガソーラーを考える会」は知事の会見後、奈良市内で記者会見した。
原告代理人の室谷悠子弁護士は「このままでは洪水が起こると住民は言い続けてきた。やっと分かってもらえたという気持ちだが、いまも危険な状態にある」と警告した。
京都大学名誉教授の奥西一夫さん(災害地形学)は、最近の降雨により建設現場で起きた盛り土崩落などを重くみて、「恒久的な安全対策に県は本腰を入れてほしい」と話した。
計画地の近くに住む町民は「44年前の大和川大水害のときは、私たちは高台にいるから安心と感じた。なぜ今ごろになって水害の心配をしなければならないのか。安心して暮らしたい」と心境を述べた。
同会は6月25日、山下真知事に宛てて上告しないよう求める署名2万6085筆を提出していた。
筆者情報
- ジャーナリスト浅野詠子
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