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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

県庁横の危険な車道歩行 知事が車道への歩道取り込み指示 バスターミナル計画に伴う拡幅で 開示文書から分かる

歩道が撤去され車道になった道路の端を通行する車いすの人

歩道が撤去され車道になった道路の端を通行する車いすの人。右は県庁=2015年9月20日、奈良市登大路町(写真の一部を加工しています)

 奈良県がバスターミナル計画に伴う車道拡幅のため、昨年3月、県庁横の奈良市道から歩道をなくし、危険な車道歩行を招いている問題。歩道撤去という異例の判断に関し、荒井正吾知事が当初に「歩道を取り込んで、右左折レーンを整備したらいい」と指示していたことが分かった。県情報公開条例に基づく記者の請求で、県が開示した文書から判明した。

 荒井知事は同問題について、昨年8月の定例記者会見で「今までは歩道がどうしてあったのかな、というぐらいに人が通っていなかった」と発言している。

 県は、奈良公園を訪れる観光バスの乗降などの拠点として、県庁東側に登大路バスターミナルを計画している。ターミナルに出入りするバスの通行に対応するため、国道369号(大宮通り)への出口となる、同市道南行き車線約100メートルを、右左折の2車線に拡幅。これに伴い、南行き車線側にあった歩道を、拡幅区間に合わせて撤去した。歩行者は、市道と並行している西側の県文化会館広場通路に誘導するようにした。

 県が開示したのは、ターミナルにどの道路からバスを出入りさせるかなどについて、県道路環境課が県警交通規制課と行った協議に関する文書。協議は、車道拡幅の2年前の2013年7月8日から14年6月9日までの間に4回あった。文書には、協議の議事録や県の計画案を示した図面、知事の指示を記録したメモなどがあった。

 開示された文書によると、荒井知事の車道拡幅の指示は、13年7月5日、県土木マネジメント部長、同部まちづくり推進局次長、同部道路環境課長ら担当部署の幹部が、ターミナルに出入りするバスの入出庫の動線などについて、部署内での検討内容を報告した際にあった。

 この日の指示を個条書きにした「知事レクメモ」によると、知事から、まちづくり推進局次長に対し、「県庁北側への出庫に際しては、県庁北側県道を2車線とし、団体バスを西側へ出庫してもかまわない。それに伴い、県庁西側の南北市道の改良(歩道を取り込んで、右左折レーンを整備)もやったらいい」との指示があった。歩行者をどこへ誘導するかについて言及した記載は、確認できなかった。

 県は3日後の7月8日の県警との協議で、知事の指示を反映した、バスの入出庫に関する計画案図面を示した。歩道を取り込んで、右左折レーンが確保されていた。歩行者をどこへ誘導するかについて、議事録からは確認できなかったが、同図面では、県文化会館広場通路がターミナル周辺の歩行空間を示す色で表されていた。

 4回の協議の議事録からは、歩道撤去の是非や影響について検討した記載は確認できなかった。県警は、同協議を通じて県の計画を了承している。

 歩道撤去直後は、どこを歩いてよいのか、とまどう近隣住民もいた。県は誘導看板を設置したが、歩道がなくなった車道を歩く人は後を絶たない。同市道は、道路を新設、改築するときの技術的基準を定めた国の道路構造令や、これに準拠した奈良市の条例に照らせば、歩道の設置を求められる道路に相当する。

 県と県警は、県文化会館広場通路への歩行者の誘導は、同市道と国道369号が交差する県庁西交差点の改修で図れるとして、現在、歩車分離方式のスクランブル交差点に切り替える工事を進めている。この秋の完成を予定している。当初の車道拡幅計画にはなかった。【続報へ】

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