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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

県庁横の歩道撤去 車道歩行者1時間に76人 正倉院展期間中の日曜 対策の交差点横断歩道改良、効果の程度不明

今年の正倉院展期間中の日曜日に、県庁西側の歩道が撤去された奈良市道の車道を歩いた人の数
(奈良の声調べ)
時間帯 今年の正倉院展期間中の日曜日 昨年9月20日 昨年5月3日
10月23日 11月6日 5日間の長期連休中 ゴールデンウイーク中
午前10~11時 39人 76人 100人 31人
午前11~午後12時 30人 85人 105人 49人
午後12~1時 41人 92人 129人 65人
午後1~2時 17人 58人 118人 99人
午後2~3時 34人 62人 96人 82人
午後3~4時 49人 83人 82人 69人
全時間帯の総人数 210人 456人 630人 395人
1時間当たりの人数 35人 76人 105人 約65人

トイレ利用のため、10月23日は午後12時15分ごろから約4分間と午後3時50分ごろから約10分間、11月6日は午後12時5分ごろから約5分間、昨年9月20日は午後12時11分ごろから約3分間、昨年5月3日は午後12時4分ごろから約4分間、それぞれ調査を中断した。

歩行者をよけるバス。バスターミナルが完成して、車体の大きな観光バスの通行が増えると車道歩行の危険性は高まるとみられる。右端の建物は県庁議会棟=2016年10月23日午前9時21分ごろ、奈良市登大路町

歩行者をよけるバス。バスターミナルが完成して、車体の大きな観光バスの通行が増えると車道歩行の危険性は高まるとみられる。右端の建物は県庁議会棟=2016年10月23日午前9時21分ごろ、奈良市登大路町

前方の県庁西交差点の信号待ちで連なる車すれすれに歩く人たち=2016年11月6日午後3時17分ごろ

前方の県庁西交差点の信号待ちで連なる車すれすれに歩く人たち=2016年11月6日午後3時17分ごろ

歩行者をよけて通過しようとする車の後方から隣接車線の車が迫る=2016年11月6日午前9時36分ごろ

歩行者をよけて通過しようとする車の後方から隣接車線の車が迫る=2016年11月6日午前9時36分ごろ

スクランブル化された県庁西交差点。交差点内を縦横斜めのいずれにも横断できるようになった。正面奥が奈良市道。向かって右側に歩道があった=2016年10月23日午前9時39分ごろ

スクランブル化された県庁西交差点。交差点内を縦横斜めのいずれの方向にも横断できるようになった。正面奥が奈良市道。向かって右側に歩道があった=2016年10月23日午前9時39分ごろ

スクランブル化された県庁西交差点付近の地図

 奈良県が観光バスターミナル計画に伴う車道拡幅のため、県庁西側の奈良市道から歩道をなくし、危険な車道歩行を招いている問題で、県が対策として歩道撤去区間の末端の交差点の横断歩道を改良したことから、「奈良の声」は効果を確認するため、観光客が増えるとみられる正倉院展期間中(10月22日~11月7日)を選んで、車道歩行者の数を数えた。

昨年調査と比べても少なくない人数

 11月6日日曜日の調査では1時間当たりの歩行者は76人。昨年9月の長期連休中の調査結果105人と比べると29人少なかったが、その前の歩道撤去直後だった5月のゴールデンウイーク中の調査結果65人と比べると11人多かった。当日の周辺の観光客の数にも左右され、単純な比較はできないが、依然として車道を歩く人が少なくないことが分かった。対策の効果の程度は不明だ。歩道の撤去自体に無理があったのではないか。

 県は、県が歩道の代わりとする市道隣接の県文化会館広場通路に歩行者を誘導するため、歩道撤去区間の南端にある県庁西交差点(信号機付き)に横断歩道を増設して、交差点のスクランブル化(歩車分離化)を図った。

 同交差点は、南北に延びる市道が東西の国道369号(大宮通り)に突き当たるT字路。国道を渡ることができる横断歩道はこれまで、交差点の東側だけにあった。撤去した歩道も市道の東側にあった。一方、広場通路は、市道を挟んで反対の西側にある。このため、県文化会館広場通路を通行して国道を横断するには、いったん市道の信号機付き横断歩道を渡らなければならなかった。

 スクランブル化により国道を斜めにも横断でき、2度の道路横断が1度の横断で済むようになった。9月30日に供用が開始された。

 正倉院展は奈良公園内の奈良国立博物館で開かれた。調査は正倉院展開幕後、最初の日曜日の10月23日と期間中最後の日曜日の11月6日の2度実施した。調査時間は午前10時~午後4時の昼間6時間。南北の市道を南に向かう人と北に向かう人をそれぞれ数え、両人数を足した。数は延べ人数とした。南には興福寺や奈良公園、北には県文化会館や県立美術館、民間の観光駐車場、住宅地がある。数は、押しボタン式の計数器で数えた。

 10月23日の調査では、全6時間の車道歩行者数は計210人で、1時間当たり35人。時間帯別では午後3~4時の49人が最も多く、午後1~2時の17人が最も少なかった。11月6日の調査では、全6時間の車道歩行者数は計456人で、1時間当たり76人。時間帯別では午後12~1時の92人が最も多く、午後1~2時の58人が最も少なかった。

 10月23日は、県庁周辺の観光客が少ないようにみられた。一方、11月6日は、県庁敷地で奈良元気もんプロジェクトの「奈良にぎわい味わい回廊」があったほか、県庁前の奈良公園登大路園地では奈良の食材とシェフの祭典「シェフェスタ」、奈良公園浮雲園地では奈良の工芸を中心とした「奈良博覧会」が開催されていた。観光客は10月23日に比べ、相当多いようにみられた。

 車道は南行きが右左折2車線、北行きが1車線の計3車線で、車道の両端それぞれに幅50センチの路肩がある。そこを歩行者が歩いている。これまでの調査のときと同様、車道を歩く人の中には、ベビーカーを押す人や赤ちゃんを抱いた人、小さな子ども連れた人が少なくなかった。杖に頼る高齢者や車いすの人もいた。路肩からはみ出して横2列、3列になって歩く人たちもいた。観光客もいれば、住民もいるとみられた。

車体の大きな観光バスが歩行者の横を通過することも

 車は歩行者をよけながら走っていたが、隣接車線が車でいっぱいになると、よけることもできず、歩行者すれすれに接近した。歩行者をよけて通過しようとする車の後方から隣接車線の車が迫ることもあった。車体の大きな観光バスが歩行者の横を通ることもあった。バスターミナルが完成して、観光バスの通行が増えると、車道歩行の危険性は高まるとみられる。

 一方で、スクランブル化された県庁西交差点を興福寺側から北に向かって横断し、県文化会館広場通路に進む人も相当数いた。また、県が交差点改良前から設置している誘導看板に従って広場通路を通行する人も相当数いた。

 昨年3月の歩道撤去の直後、ゴールデンウイーク中の5月3日日曜日の同様の調査では、全6時間の歩行者数は計395人だった。今回はこれを61人上回った。県が広場通路への誘導看板を増設した後、5日間の長期連休中の昨年9月20日日曜日の調査では、同歩行者数は630人だった。今回はこれを174人下回った。

 道路を新設、改築するときの技術的基準を定めた国の道路構造令や、これに準拠した奈良市の条例では、都市部の市道は第4種に分類される。さらに、県の2014年7月奈良公園交通対策事業登大路ターミナル報告書によると、県は同市道の車道拡幅に当たって、計画交通量を1日7000台と推定した。第4種のうちの2級に該当する。道路構造令や市条例は基準を示したもので義務はないが、第4種2級の道路には歩道を設けるものと規定している。

 歩道撤去という異例の判断をめぐっては、荒井正吾知事が当初に「歩道を取り込んで、右左折レーンを整備したらいい」と指示していたことが、「奈良の声」が開示請求した県の文書から分かっている。荒井知事は、問題が表面化した後の昨年8月の定例記者会見で、「今までは歩道がどうしてあったのかな、というぐらいに人が通っていなかった」と発言している。(いずれも「奈良の声」で既報)

 観光バスターミナルは登大路バスターミナルの名称で、県が奈良公園を訪れる観光バスの乗降などの拠点として、県庁東側の県営駐車場跡地で建設を進めている。ターミナルに出入りするバスの通行に対応するため、国道369号への出口となる、同市道南行き車線約100メートルを、右左折の2車線に拡幅。これに伴い、南行き車線側にあった同区間の歩道を撤去した。バスターミナルは2018年度末までに開業の予定。

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