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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

撤去指導の誤り、奈良・天理市あらためて謝罪 柳本飛行場跡の市民説明板

柳本飛行場跡を歩く催しで説明に耳を傾ける参加者。左が市民団体が設置した説明板=2020年8月6日、奈良県天理市長柄町

柳本飛行場跡を歩く催しで説明に耳を傾ける参加者。左が市民団体が設置した説明板=2020年8月6日、奈良県天理市長柄町

 奈良県天理市の柳本飛行場跡に市民団体が設置した朝鮮人強制連行の歴史を伝える説明板に対し、農地法違反を理由に市側が誤って撤去を指導し、のちに撤回した問題で、市民団体が並河健市長あてに提出していた抗議の質問書に、市が回答、あらためて謝罪した。

 回答は6月23日付。質問書は、説明板設置の主体となった「天理・柳本飛行場跡の説明板撤去について考える会」(高野真幸さんら5人の共同代表)が同月4日、経緯の説明などを求めて提出していた。

 回答は「『違反』の旨を軽々に書面で農業委員会よりお伝えしたことについては、行政のあり方として不適切であったと市としても改めてお詫(わ)び申し上げます」としている。市はことし2月にも、「考える会」からの質問書に答えて謝罪していたが、同会は納得していなかった。

 問題にされた説明板は昨年4月、同市長柄町の田のあぜに設置された。農地転用の手続きはしていなかった。市外在住者から問い合わせがあり、市農業委員会が県を通じて農林水産省に確認。転用許可が必要との見解を受けて、土地を貸した人に撤去するよう通知した。ところがその後、同省から「小規模で簡易な看板は農地転用に該当しない」と、当初と異なる見解が示され、市農業委は同年8月、通知を撤回した。

 市に問い合わせをした市外在住者については当時、説明板の扱いについて市農業委事務局との電話でのやりとりをツイッター上で報告する人がいた。この人は報告の中で「強制連行」を否定する主張を展開、説明板を攻撃していた。

 「考える会」は回答を受け、「引き続き、市が撤去した説明板の再設置を求めていく」とした。同会は、市が2014年、「強制連行」を批判の標的にする人たちからの意見を受けて撤去した柳本飛行場跡の説明板の、再設置を求める活動に取り組んでいる。同説明板は1995年、市と市教育委員会が連名で設置していた。

 同会によると、2014年の説明板撤去以来、並河市長に再設置を求めてきたが、市長は天理市外の市民とは会わないと言って交渉を拒否してきた。それが今回の誤った撤去指導を機に変化。市長は昨年9月と11月の2度、面談に応じたという。同会は「法律違反でもないのに法を執行したという弱みがあったことや、そのことを弁明する機会を持ちたかったからだろう」と分析している。

 柳本飛行場の正式名は大和海軍航空隊大和基地。太平洋戦争末期の軍事施設で、建設には強制連行された朝鮮人労働者が多数動員されたという。

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