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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

記者余話)クラブ以外の記者の使用認めず 奈良県香芝市議会記者席、扉に張り紙

香芝市議会がある同市役所=2022年10月、同市本町

香芝市議会がある同市役所=2022年10月、同市本町

 奈良県香芝市議会傍聴席の記者席扉にこのほど、記者クラブの記者以外は使用できないとする張り紙が掲示された。議会は掲示の理由について、どこまでが記者と呼べるのかを明確にするためと説明した。6月27日の市議会定例会を記者席で傍聴した「奈良の声」の記者(筆者)は、議会から使用できない旨を告げられた。

 筆者が香芝市議会を継続的に取材するようになったのは2022年2月ごろ。市議会が市に「屋外分煙施設」の整備を求める決議をしたことを巡って、市民から反発の声が上がっていた。以降、議員に対する出席停止の懲罰を巡って地裁が仮の差し止めをするなどの問題も起き、こうした出来事を掘り下げながら丁寧にニュースにしてきた。

 記者席は、傍聴席中央の一角を区切って設けられていて、入り口も一般傍聴席と分けてある。取材を始めた当初は一般傍聴席を使用していた。あるとき、一般傍聴席の傍聴者が多く、議会事務局から記者席で傍聴するよう促された。以来、記者席を使用してきた。一般傍聴席との違いは、いすに小さな机が付いていること。筆記をするのに便利。

 27日の傍聴の際、記者席扉に使用制限の掲示があるのは分かった。もともと記者席を示す小さな掲示はあった。突然の大きな張り紙に驚いた。拒絶された気がした。しかし、議会事務局に促されて使用するようになって以降の使用実績があり、かつその間、使用について指摘を受けることもなかったため、この日もいつも通り使用した。筆者が傍聴の機会に見る限りでは、記者席はたいてい空席。新聞記者は一般傍聴席にいることが多い。

 議会からは閉会後に使用できない旨を伝えられた。議会は、過去に記者席での傍聴を促したことについて「コロナの中で一般傍聴席の傍聴者が多かったため」と説明した。張り紙を掲示したのは今年度に入ってからで、問題が生じたための措置ではないとした。一般傍聴者から記者席の性格や記者の資格を問われたときに、張り紙のような説明が必要とした。

 「記者とは報道を目的に活動している人を言うのではないか」「記者クラブに所属していることだけが記者の証明になるとも思えない」。筆者はそう伝えた。議会事務局は「ご意見は承る」と述べた。

 香芝市議会以外に目を移せば議会はもっと開かれている。今年3月、大阪府東大阪市議会の定例会を「奈良の声」の記者が傍聴取材したときのこと。取材が目的であることを告げる前に撮影、録音の希望を尋ねられた。「奈良の声」というウェブメディアであることを伝えると記者席を案内された。

大阪府東大阪市議会傍聴席の記者席から撮影した定例会本会議の様子=2023年3月28日、同市荒本北1丁目

大阪府東大阪市議会傍聴席の記者席から「奈良の声」の浅野詠子が撮影した定例会本会議の様子=2023年3月28日、同市荒本北1丁目

 取材する機会の多い大和郡山市議会も記者クラブには所属していないが、記者席を使用でき、録音、撮影も認められている。

 記者クラブは通常、日本新聞協会に加盟する全国の新聞社・通信社・放送局の記者で組織される。官庁ごとにあり、県内では県庁や県警本部、奈良市など主要な市の役所にある。香芝市役所の取材はたいてい、隣の大和高田市役所の記者クラブの記者が受け持っている。

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