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ジャーナリスト浅野詠子

関西広域)朝鮮戦争休戦協定70年 “日本人戦死者いた” 掘り起こした韓国ドキュメンタリー番組 ジャーナリストグループ例会で上映

韓国KBS放送の特集ドキュメンタリー番組「戦争と同盟」第2部「密約」を解説する西村秀樹さん(中央)=2023年10月12日、大阪市内

韓国KBS放送の特集ドキュメンタリー番組を解説する西村秀樹さん(中央)=2023年10月12日、大阪市内

 今年は朝鮮戦争の休戦協定から70年。掃海作業によって戦死した日本人がいたことを掘り起こした韓国KBS放送の特集ドキュメンタリー番組「戦争と同盟」第2部「密約」」が10月12日、大阪市内で開かれた自由ジャーナリストクラブ例会で上映された。番組の中でインタビューを受け「朝鮮戦争に『参戦』した日本人」の著書がある西村秀樹さん(元毎日放送記者)らがコメントした。

 1950年から53年まで続いた同戦争では、兵士や民間人を含め南北合わせて500万人の死者が出た。日本は朝鮮特需と呼ばれる経済的な利益を得たが、米軍と一緒に戦ってもいた。番組は今年6月に韓国で放映された。

 例会では約20人が熱心に映像を見た。番組の中で川名晋史・東京工業大学教授は1956年、旧日本調達庁が刊行した「占領軍調達史」などの記録を基に、連合軍の兵たん基地となった日本は組織的に軍需品の輸送を担ったと証言している。荷役は命懸けで死者や負傷者が出たという。

 韓国KBS放送の取材班は多数の証言、米国内の公文書、米国人研究者らの知見などを基に、日本は事実上の参戦国であったことを裏付けていく。掃海作業中、機雷に触れて船が沈没し、死亡した日本人の氏名が判明したが、当時は極秘扱いだった。

 日本社会では「対岸の火事」であったのかと番組は投げ掛ける。しかしそうではなかった。番組の中で米コネチカット大学のアレクシス・ダーデン教授は「日本人の民間人を利用したのは違憲と思えることだが、吉田茂首相はそうした。秘密にしろと言い続けていた。米国に対し、兵たんと戦闘の支援をすることにより日本が1日も早く主権を回復できると信じた。そしてその賭けは成功を収めた」と分析した。

 例会の会場で通訳をした波佐場清さん(元朝日新聞ソウル支局長)は「朝鮮半島における日本の軍事行動を警戒するという意識が番組ににじみ出ている。第2次世界大戦の戦犯ではなく犠牲者だった半島が分断され、大国同士の取り引きが行われた観点も強く出ている」と語った。

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