奈良県住宅供給公社の真美ケ丘住宅、バブル時7000万円前後の売れ残り12戸やっと完売へ、賃貸転用の終了受け

2011年11月30日 浅野善一
売れ残りで賃貸に転用されていた分譲住宅がほぼ完売した真美ケ丘住宅=広陵町馬見南4丁目
県住宅供給公社 1965年、地方住宅供給公社法に基づき、県が100%出資して設立された。職員は県からの出向がほとんどだが、独立採算で運営されており、人件費や県から借りている事務所の家賃、光水熱費なども自前。
 これまでに開発した団地は21地域(1地域1戸も含む)あり、分譲した住宅は約4100戸。最大の団地は橿原ニュータウンで、1968年ごろから93年までに約2600戸を分譲した。最後に計画したのは90年代に土地を取得した奈良市の六条団地だが、2010年6月に中止を決めた。
 県は、公的機関による住宅供給の必要性はなくなったとして、13年度をめどに解散手続きを行う予定。

 広陵町馬見南4丁目の県住宅供給公社の真美ケ丘住宅で、バブル直後の1994年度に同公社が分譲した住宅のうち、売れ残っていた10戸余りが17年ぶりにほぼ完売した。同公社への取材で分かった。この間は賃貸に転用されており、契約期間が終了したことに伴い売却した。分譲当時の価格が7000万円前後だったのに対し、中古としての価格は半分以下の2500万円前後となった。>>視点

 真美ケ丘住宅は、香芝市と広陵町にまたがる真美ケ丘ニュータウンにある。同ニュータウンは広さ298ヘクタールで、日本住宅公団(現・都市再生機構)が1973年に開発を始めた。同公社はこのうちの100分の1を受託(購入)。1992〜94年度の3年間に建売住宅100戸を分譲した。1戸当たりの敷地面積は200平方メートル余りで、価格は6000万円台後半が中心だった。

 売れ残ったのは、3年目の94年度に6674〜7582万円で分譲した20戸のうちの12戸。値引き販売はせず、活用策として、分譲から7年後の2001年度、賃貸への転用を行った。家賃は月10万円前後で、契約の期限を最大で10年間とした。

 その後、本来の目的である供給の形に戻そうということになり、08年度、賃貸契約期間終了後に売却することを決めた。

 これまでに11戸が売れた。うち4戸は、購入を希望した賃貸の入居者に売却。ほかは新聞折り込みなどで売却を知らせ、抽選で購入者を決めた。

 この10、11月に売れた3戸は、いずれも木造2階建て延べ床面積120平方メートル余り。価格は鑑定に基づいて2386〜2670万円と設定されたが、ほぼ土地の価格に近いものになったという。残る1戸の契約期間終了は来年7月という。

 売れ残った原因について、同公社業務課の池田勝課長補佐は「タイミングが悪かったのでは」とする。

 当時は景気にバブル崩壊の影響が出始めたころで、また、周囲の民間業者が値引き販売する中で価格差もつきすぎたという。住宅の供給過剰も出てきていたのではという。値引き販売をしなかった理由については、公的機関として、当初に正価で買った人との公平性を担保する必要があったためでは、と同課長補佐は推測する。

バブルで分譲、高額に 「勤労者へ供給」遠のく

◇視点 真美ケ丘住宅の分譲価格は、6000万円台後半を中心に上は8000万円に迫ろうとしていた。県住宅供給公社が掲げる勤労者への住宅供給という目的は遠のいた。手の届く勤労者は限られただろう。

 県が毎年、実施している毎月勤労統計調査地方調査で、5人以上の常用労働者を雇用している県内事業所の労働者の平均年収が分かる。売れ残りが出た1994年の一般労働者(パートを除く)のそれは約475万円だった。同住宅の価格は、労働者の平均年収の10倍をはるかに超えていた。

 背景にはバブル景気による地価の高騰があった。県の地価調査によると、県内の住宅地の価格は1990年を頂点に下落に転じ、94年は90年の3分の2まで下落した。それでも2011年と比較すると3倍の高水準にあった。

 同公社が毎年、県議会に提出している経営状況の報告書に、事業の実施方針や報告の欄があり、その文面に現実を投影する変化があった。1991年度まではそこに「比較的低廉な価額で居住環境の良好な住宅を供給する」などとあったが、翌92年度以降、ここから「低廉」の文字が消えた。実態に合わなくなったのだろう。

 地価の上昇ほどは、勤労者の収入は伸びなかった。同公社業務課の池田勝課長補佐は「経済の動きに目的が付いていけなかった」と説明する。

 同公社最後の計画となった奈良市の六条団地も、計画当初の1997年時点の試算では1区画当たり約6800万円と、真美ケ丘住宅並みの価格が想定された。しかし、住宅需要が見込めないことなどから、計画そのものが中止になっている。同団地の元予定地には県立奈良病院が移転する。

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