2014年1月12日 浅野善一

奈良県:奈良市西ふれあい広場用地塩漬け 発端の91年寄付土地「単独で使えない」 担当課、難点認識 直後買い足しへ

図は奈良市が作成したものに記者が加筆した。広場用地を取得した年度ごとに塗り分けている。

 奈良市の西ふれあい広場用地塩漬け問題で、広場計画の発端となった1991年の市への土地の寄付に対し、担当の市厚生課内部に「土地は単独では使えない」との認識があったことが、当時の関係者への取材で分かった。寄付は障害者福祉への寄与を名目としていたが、土地には進入路がなく、直後に、周辺の土地を買い足して公園とする計画に発展した。周辺の土地もほとんどが土地を寄付した人物の一族が所有する土地だったことが明らかになっている。

 寄付を受けたのは同市二名7丁目の山林内の土地約2000平方メートルで、登記簿上の地目は田。寄付をしたのは地元の地主。受領は91年7月。

 同土地の寄付採納の起案文書は厚生課が作成しているが、関係者によると、市として土地の寄付を受けることが決まったあと、寄付の名目が障害者福祉だったことから、担当とされたという。このため、課として土地の寄付を受けるかどうかの検討はしていないという。

 課で現場の確認に行ったところ、付近は林になっていて土地にたどり着くことができず、仕方なく近くの高所からおよその位置を確かめたという。土地には進入路がなく、利用するには難点があった。課内では、単独では使い勝手が悪いとして、どう使ったらいいのか思案したという。

 ただ、関係者は、寄付自体は善意であったとし、「当時は今と違って、土地自身に財産価値があった。市へ寄付していただいたということで感謝していたと思う」とした。

 土地は都市計画道路一条富雄線の予定区域上であることも分かっている。この点でも将来、十分に利用できない可能性があった。

 土地を買い足して公園とする方針が決まった翌92年度、担当は街路公園課(後に公園緑地課)に変わった。

 市が寄付を受けた目的は判然としない。寄付採納の起案文書に添付された事業計画書は同土地について、寄付者の意向を尊重して、市総合福祉センターで実施している障害者の機能回復訓練の一環として行う、農作業の場に利用するとしていた。しかし、94年3月にまとめられた西ふれあい広場の基本計画に、農作業の場は盛り込まれなかった。計画が整備するとしたのは福祉センターや体育館、ゲートボール場、野球場、アスレチック広場、水辺の広場などだった。

 また、2010年3月の市議会予算特別委員会で公園緑地課長は土地について、「福祉施設建設目的として寄付を受け」たが、「施設を建設するとなると進入路がなく」などと答弁した。いつの時点で農作業の場が福祉施設建設に変わったのか、実際は寄付を受けた時点から福祉施設建設が念頭にあったのか、不明だ。同課長は答弁で、トップダウンで周辺土地取得に大きくかじを切ることになったとも述べ、土地の買い足しが市トップの指示であったことも明らかにした。

 07年9月の市議会決算特別委員会で広場用地の塩漬け問題を取り上げた委員は、「寄付を受けた小さな土地を生かすために18億かけて(土地を)買っていって巨額の負債を抱えた。それなら寄付をもらわなければよかった」と批判している。

 広場用地の取得は94〜2000年に行われた。市土地開発公社が計約4万8000平方メートルを18億1263万円で先行取得した。このうち地主一族の所有地は約4万1000平方メートルを占め、取得額は約16億円に上った。

 市土地開発公社経営検討委員会が11年3月に公表した報告書は、西ふれあい広場計画について特定の個人の便宜を図る趣旨があったのではないかとしている。土地の寄付は地元の市議会議員を通じて持ちかけられたという。地主一族から土地を買い足すことになった件でも、この議員は地主とともに市を訪れ、「(地主が)相続税支払いの負担を抱えている事情もあるので、土地を買ってやってくれ」という趣旨の依頼をしたという。報告書は議員から市に「圧力があったことが推察される」と指摘している。

 寄付採納の起案文書が作成されたのは91年7月10日。文書には、寄付を受ける土地について、寄付者が相続したものである旨を示す記載がある。一方、登記簿によると、相続の日は91年1月17日。こうしたことから、土地の寄付の前に相続税の支払いが発生していたとみられる。

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