リサイクル機器損料支払い、契約書との整合性なく 大和郡山市の家庭ごみ収集委託
奈良県大和郡山市の家庭ごみ収集・リサイクル作業業務委託で、委託料の一部であるリサイクル機器損料に関し、委託契約書との整合性がないことが、「奈良の声」の調べで分かった。市は、缶の圧縮施設の償却費・維持修理費として毎年136万円を支払っているが、契約書は「器材は委託業者の負担」と定めている。
委託先は毎年同じ1社で、損料の支払いは2009年度に始まった。損料と契約書の矛盾は12年間、見過ごされてきた。また、金額の根拠についても、たどれない状況。
市は「奈良の声」が指摘した矛盾を認め、「契約条項が実情に沿っていない箇所や確認不足の点があることを認識しており、契約内容について精査し、見直し作業を進めている」としている。見直しには、損料を今後も継続するかどうかという点も含まれているという。
市は、市内の家庭ごみの収集業務のうち、不燃ごみ、粗大ごみの収集と、一部地域の可燃ごみの収集を、随意契約で大和郡山市環境事業協同組合(野村安忠理事長)に委託している。同組合への委託は1981年度から続いている。
「奈良の声」は市情報公開条例に基づいて、市と組合が交わした業務委託契約書や組合が市に提出した見積書を請求、開示を受けた。
委託料の前提となる見積書には、可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみそれぞれの収集業務の請負金額、収集した缶・瓶の選別、缶の圧縮などのリサイクル作業業務の請負金額、さらにリサイクル作業業務とは別途にリサイクル機器損料が提示されている。見積額の総額は2020年度で約1億5569万円。
一方、契約書の「使用器材の負担等」を定めた第16条は「組合が、本受託業務実施にあたり必要とする器材のすべては組合の負担とする」としている。
これについて西澤康弘・市清掃センター長は「契約書の条項は損料の支払いを始めた2009年度の前と後で変わっていない」とし、損料の支払いが始まったときに、条項を精査せず、それまでの契約書をそのまま使ったのではとの見方を示す。
損料の金額については「当初は何かあったと思うが、文書の保存年限が過ぎ、書類が残っていない」とし、根拠は確認できなかったという。組合側にも尋ねたというが「はっきりとした資料はないとのことだった」とした。
組合は取材に対し、「契約内容に関しましては当組合からのコメントは差し控えさせていただきます」と文書で回答した。
市の家庭ごみ収集・リサイクル作業業務委託を巡っては、収集した缶・瓶の売却益が市に入金されず、業務委託料と「相殺」されていたことが明らかになっており、市は組合に対し、来年度から入金してもらう方式に切り替えることを伝えている。 関連記事へ