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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

春日夜間中学の充実期待 奈良市長選候補に要望伝える 「育てる会」が質問状

奈良市立春日中学校夜間学級=2021年7月7日、奈良市西木辻町

奈良市立春日中学校夜間学級=2021年7月7日、奈良市西木辻町

 奈良市立春日中学校夜間学級の支援を目的に卒業生や教師OBらでつくる「春日夜間中学を育てる会」(飯野敦子会長、約30人)が、7月11日投開票の市長選を機に、同夜間学級の充実が図られることを期待している。候補5人それぞれに質問状を送って、課題や要望を伝えている。

 夜間中学は、さまざまな事情で義務教育を十分に受けられなかった人のための学習の場で、さまざまな年齢の人が学んでいる。

 春日中学校夜間学級は県内に3つある公立中学校夜間学級の1つ。私設の夜間中学を経て、1978年、公立の夜間学級として開校した。今年度の学校要覧などによると、生徒数は55人。戦争や貧困、差別などで義務教育を受けられなかった日本人だけでなく、中国、ネパールなどの在日外国人も多く在籍している。

 「育てる会」が質問状に挙げた要望は5つ。

 1つは、奈良市独自の夜間中学基本方針の策定。県教育委員会がことし3月に出した「奈良県夜間において授業を行う中学校に関する基本方針」にならって、市の夜間学級の実情を踏まえた独自の基本方針の策定を求めている。

 次に、夜間学級の現場従事者と市教委の話し合い場の設定。現下のコロナ禍で感染を恐れて2年近く欠席せざるを得なかった80代の高齢女性が1人いるといい、こうした生徒の在籍年限の延長など、生徒個々の実情に沿った対応を話し合える場が必要としている。

 また、不登校で卒業せざるを得なかった生徒の学び直しの場としての夜間学級の意味を、中学教員に周知徹底を図ることも求めている。今年度、こうした事情で2人の生徒が入学したが、それには通っていた中学の教員の奨めが大きく影響したという。

 このほか、補食費の支出を求める要望では、2014年以降、市からの補食費援助はなく、冬場は「育てる会」のカンパで週1回、うどんを提供しているだけと訴えている。生徒募集の常時の広報も求めている。学びを求めている人、必要としている人に夜間学級の存在がなかなか伝わらないという。

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