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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

奈良市県域水道一体化懇の最終回 参加是非、8月中の方針決定果たせず 非公開の部会にも委員から批判

最終回を迎え活発な意見が出た第5回「奈良市県域水道一体化取組事業懇談会」=2022年8月31日、奈良市法華寺町の奈良ロイヤルホテル

最終回を迎え活発な意見が出た第5回「奈良市県域水道一体化取組事業懇談会」=2022年8月31日、奈良市法華寺町の奈良ロイヤルホテル

 奈良県が主導する県域水道一体化構想について奈良市が有識者らの意見を聞く「奈良市県域水道一体化取組事業懇談会(座長浦上拓也・近畿大学教授、11人)が8月31日、奈良市法華寺町の奈良ロイヤルホテルで開かれた。一体化に参加予定の市町村と県が現在、非公開の協議を続け、法定の重要な手続きが近づいていることに対し、複数の委員から疑問や批判が出た。

 市は懇談会初回の今年5月、「8月中に市の方向を取りまとめたい」と委員に表明したが果たせず、最終回となった5回目の会議のこの日も仲川げん市長は参加・不参加について明言しなかった。

 この日の懇談会では市は、奈良市の参加を促すために県や天理市などが開いている一体化協議、第3回「論点検討部会」(8月9日、非公開)で奈良市が提案した主張を一部公開した。それによると、広域化の投資予定額の年間161億円を146億円に落とし、その減少分を県の金で補充すれば奈良市にも水道料金のメリットが発生し、奈良市だけが負担の大きい一体化構想の課題を解消する試算を提示したという。

 提案に対し、大西淳文委員(市議、日本維新の会)は「福祉や教育に使う税を安易に料金対策に用いるのは反対」とした。

 浦上座長は「投資額を落とし、料金を下げれば、将来世代に負担を押しつけることになる」と述べた。

 井上昌弘委員(市議、共産党)は、広域化の先行事例として県が重視する香川県広域水道企業団(県と16町が統合、給水人口約93万9000人)の関係市議に聞き取りした内容を紹介。「広域化後、市議会で水道について質問したところ答弁する人がいなかった」といい、奈良県同様、市町村の自己水源を積極的に廃止していく方針に対しては、香川県民の間には依然、不安の声があると話した。

 山本憲宥委員(市議、自民結の会)は、一体化の協議に参加する他の市町村との違いは、奈良市の上下水道一体的な運営だとし「懇談会の5回の論議ではそこにたどりつけず、課題を残した」と指摘した。 関連記事へ

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