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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

アイヌ施策推進法の問題点知って 権利回復に取り組む多原さんが大和郡山で講演

アイヌ施策推進法施行後、止まらないヘイトスピーチなど深刻な問題について、つぶさに語る多原さん=2022年10月28日夜、奈良県大和郡山市筒井町の市南部公民館

アイヌ施策推進法施行後、止まらないヘイトスピーチなど深刻な問題について、つぶさに語る多原良子さん=2022年10月28日夜、奈良県大和郡山市筒井町の市南部公民館

 アイヌの人々を法令上初めて先住民族と明記したアイヌ施策推進法の施行から3年が過ぎ、問題点を知ってもらおうと、アイヌの権利回復と文化伝承活動を北海道で行っている多原良子さん(先住民族アイヌの声実現!実行委員会代表)が10月28日夜、奈良県大和郡山市筒井町の市南部公民館で講演。「施行されて良かったという実感がない。でも黙っていては後退するばかり。改正に向けて頑張りたい」と話した。

 奈良県では、アイヌの問題は遠い世界の出来事と捉えられがち。歌人で元談山神社神職の淺川肇さんが代表を務める市民団体「先住民族アイヌのいまを考える会」が主催した。約40人が参加した。

 多原さんはアイヌの祖母(故人)を持つ。会場では、祖母と同時代を生きたアイヌの女性たちが口元に入れ墨をする1980年代の画像を紹介し「成人になるための誇り高い儀式」と解説した。

 法律の正式名称は「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」。名称の理念とは裏腹に、かえってヘイトスピーチを招いている事例を多原さんは報告し「実効性のない法律」と批判した。数年前、アイヌの権利擁護活動をしている自分の姿がSNSに流れ、激しい憎悪の言葉を次々と浴びせられた。言葉もなかったという。

 講演の中で多原さんはアイヌの遺骨問題も取り上げた。明治の中ごろ、日本人の起源を探る研究ブームが到来し、研究名目でおびただしい数のアイヌ遺骨が盗掘、収集されたが、「大学や博物館などに留置された骨のうち祭祀(さいし)継承者に返還されたのはごくわずか」という。「国の責任ですべてを出土地に返還し、再埋葬してほしい」と訴えた。

 道内で先月30日に行われた日本弁護士連合会の人権擁護大会で、「アイヌ民族の権利の保障を求める決議文」採決の際、国際交流委員会(弁護士80人)が「将来にわたりロシアの領土的侵攻(北方4島)の口実として利用される恐れがある」として反対した。沖縄県出身の奈良市民、崎浜盛喜さんが共同代表を務める「共生社会を考える会」など4つの市民団体は連名で今月20日、日弁連に抗議文を送った。同会共同代表の出原昌志さんが多原さんの講演後に報告した。

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