不当な差し押さえに立ち向かう一市民の戦い 映画「天守崩落」奈良県拠点に制作 DVD3月発売予定
「天守崩落」の宣伝ちらし
行政による行き過ぎた土地の差し押さえに立ち向かう一市民の戦いを描いた映画「天守崩落~権力と戦った英雄たち~」が奈良県を拠点に制作された。架空のまちの税務行政が題材だが、ロケはほとんどが県内で行われ、地元の人が多数、エキストラで出演している。映画はDVD化して公開、発売は3月の予定。
映画の舞台は架空のまち「わが市」。土地の地主の家系という西口弘は、124万円の税金滞納を理由に市から自宅敷地など3000坪に及ぶ土地を差し押さえられた。異常な超過差し押さえだと抗議し、異議を申し立てるが、市は「法に則ったもの」として取り合わない。西口は、正義感あふれる市議の支援を得て、不当な差し押さえの取り消しを求める訴えを裁判所に起こす。
西口の行政との戦いは、西口の幼なじみという副市長・城下登との対決を軸に進む。2人の間には当人たちも知らない、遠い祖先の時代からの因縁があり、物語は戦国時代にもさかのぼりながら展開していく。
監督は映像制作などの仕事に携わってきた高山あきらさん(44)=兵庫県尼崎市在住=。主な活動の場は奈良県内でこの映画が初監督作品という。映画の原作は大和郡山市在住の至口しひろさん(ペンネーム)の小説「砂の楼閣」。総合プロデューサーは副市長役も務めた徳丸新作さん。徳丸さんは、奈良市を拠点に俳優のほか殺陣師やラジオパーソナリティーとしても活躍している。
主なロケ地は大和郡山市や奈良市で、地元の人20~30人がエキストラで出演している。市役所や市議会議場の場面では生駒市役所の協力を得た。
完成披露上映会であいさつする監督の高山あきらさん(左端)、総合プロデューサーの徳丸新作さん(左から2人目)、出演者=2024年1月28日、奈良市下御門町のならまちシアター青丹座
1月28日には奈良市下御門町のならまちシアター青丹座で完成披露上映会が行われ、3回の上映で計約50人が観賞した。高山さんや出演者の舞台あいさつもあり、撮影中の演技のことなど映画作りの舞台裏を披露した。
高山さんは映画に込めた思いについて「日本の若者は政治への関心が低い。映画は弱い立場の人間が強い立場の人間を倒す内容になっている。声を上げれば政治は変わっていくということを伝えたい」と話している。
DVDの販売価格は2880円(税込み)。長さは2時間で、映画の出演者がロケ地を観光案内する映像が特典として収録されている。申し込みはキラメキプレイス、Eメールkiramekiplace.0801@gmail.comへ。氏名、住所、連絡先、DVDの必要枚数を伝える。