ニュース「奈良の声」のロゴ

地域の埋もれた問題に光を当てる取材と報道


第1回「奈良の声」読者会の報告

浅野善一

焦点の不用額扱い「補正予算提出を原則に」も決議 奈良県香芝市議会、2024年度市決算を継続審査から3カ月ぶり認定

奈良県香芝市議会で2024年度一般会計決算の認定を含む12月定例会の議案審議が終了し、あいさつする三橋和史市長=2025年12月17日、同市本町の市役所、浅野善一撮影

奈良県香芝市議会で2024年度一般会計決算の認定を含む12月定例会の議案審議が終了し、あいさつする三橋和史市長=2025年12月17日、同市本町の市役所、浅野善一撮影

 奈良県香芝市議会で今年9月の定例会から継続審査となっていた市の2024年度一般会計決算が、12月17日の定例会本会議で3カ月ぶりに認定された。事務用備品購入の入札で生じた予算の不用額約1300万円を、議会への説明なく新たな物品購入の費用に充てていたことが焦点になっていた。再発防止に向け、市に対し「不用額を他の事業に充てる場合は補正予算の提出を原則とする」などと求める決議も可決された。

 決算の認定に当たって行われた採決では、香芝市議会自由民主党、日本維新の会、香芝市議会公明党の3会派と無所属の議員計10人が賛成、香芝日本共産党と無所属の議員計4人が反対。無所属の議員1人が退席した。

 採決に当たっての討論では、認定に賛成した議員からも「もろ手を挙げて賛成するものではない。しっかりと議員各位に全会一致で理解をいただけるよう、今後とも予算の執行にご努力いただくよう強く求める」「今後は多額の入札差金が生じた場合の扱いについて一定のルールを明確に定め、議会への説明責任を果たす体制を整えていただくことを要望する」などと注文が付けられた。

 また、再発防止に向けて野口昌史議員(日本維新の会)から「予算の適正な執行に係る決議案」も提出された。決議案は特に、市が市役所4階の授乳室・キッズスペースをグリーンラウンジ(休憩スペース)へと使用形態を変更するために備品を購入したことを問題視。授乳室の設計計画案が市議会の市庁舎等乳幼児等施設利用環境調査特別委員会で全会一致で承認された経緯を挙げ、議会への説明なく政策目的を変更したことは「議会の議決の趣旨を軽視するものと言わざるを得ない」と指摘した。

 市に求めたのは3点で、(1)予算の目的の事業を縮小したり、実施しないとき、または入札の結果により事業の執行額が縮減されるときに、不用額を他の事業に充てる場合は、補正予算の提出を原則とし、二元代表制の趣旨に則った適正な手続きを確保する (2)議会が議決した政策目的に関わる事項について変更が生じる場合は、議会に対し直ちに説明を行う (3)本決議の趣旨を全庁的に周知し、議会との信頼関係の構築、行政の透明性向上に努める。

 採決では12人が賛成、3人が反対した。反対意見は「予算に関する議会の議決は『款(かん)』『項』の範囲で行われるものであり、その枠を超えて執行の在り方を詳細に決めることは、今後の柔軟な予算執行や迅速な対応に影響を及ぼす可能性もあるのではないかと懸念する」などというものだった。

筆者情報

予算と落札額の差額1300万円で備品追加購入 奈良県香芝市監査委員「議会への説明責任果たすべきだった」 一般会計決算の認定巡り

奈良県香芝市の2024年度一般会計決算の認定について審議した市議会決算特別委員会=2025年12月12日、同市役所、浅野善一撮影

読者の声