三橋新市長 現議会と市の関係問題視、是正図る 奈良県香芝市、初登庁で言及 各紙が報道
奈良県香芝市役所=同市本町
5月の奈良県香芝市長選挙で初当選した新市長の三橋和史氏(35)が、市役所に初登庁した6月3日の会見で、現議会と市の関係を問題視、是正に言及したことを翌4日付の新聞各紙が報じた。「奈良の声」は、川田裕市議会議長が自ら設置を求めた3つの市長の諮問機関の会長に就任してきたことに対し、市長の意思決定に関わる意見の偏りや、議会と執行機関が対峙(たいじ)する二元代表制の形骸化が懸念されると、これまでの記事で指摘してきた。
報道によると、三橋市長は取り組む問題の一つとして議会と市の関係に言及。朝日新聞(朝刊奈良版)は「(三橋市長は)市長の諮問機関に市議が入っていることを問題視し、『職員が萎縮して自由な議論ができないという声も聞く』と議会とは適切な距離を保つ必要があることを強調した」と報じた。
また、奈良新聞は「(三橋市長は)市長部局と議会の関係について『あるべき二元代表制に向けて問題をしっかり是正していく』と述べ」と報じた。読売、毎日の2紙も三橋市長が議会との関係是正を図る考えであることを報じた。
川田議長が会長に就任した3つの諮問機関は市公有財産有効活用検討会議(設置2022年7月)、市政運営検証会議(同2023年1月)、市防災会議分科会(同2022年8月)。
このうち、公有財産有効活用検討会議と市政運営検証会議は、議会の議決が不要な要綱の制定のみで設置された。このため、設置の是非や目的、委員の構成・選任について議会で議論する機会はなかった。
公有財産有効活用検討会議については「意見交換の場で懇話会のようなもの」と市は説明している。しかし、委員は川田議長ら一部の市議会議員と市上層部の職員のみ。3小学校が統廃合の対象となる「香芝市学校施設の再編等に関する基本方針」は同会議で検討され、昨年3月の議会で賛成多数で可決された。
同検討会議は非公開で、いつ設置されたのかという点や設置要綱、委員名、審議内容が市民の開示請求で明らかになったのは、基本方針可決後の同年5月。統廃合の対象となる小学校の保護者や地域の住民は不信感を募らせ、今回の市長選でも大きな争点となった。
市政運営検証会議は過去10年の市政運営を検証する目的で設置されたが、委員は川田議長ら一部の議員と市上層部の職員のみで、学識経験者など市や議会から独立した立場の外部委員はゼロ。
今回の市長選が1カ月後に迫った4月、市広報紙などで公表された報告書は、この間の市長だった現職、前職の市政運営に停滞の判定を下す内容だった。川田議長ら委員の議員2人は市長選で新人の三橋氏への支持を呼び掛けた。同会議は報告書作成の役割を終えて4月1日付で廃止された。