「特定の議員にのみ重き置くな」 奈良県香芝市、三橋新市長の職員訓示公開 意見への対応や情報提供の在り方で
三橋市長の訓示を字幕付きで紹介する動画の一場面(奈良県香芝市ホームページから、市役所写真との合成は「奈良の声」による)
奈良県香芝市は6月12日までに、5月の市長選挙で初当選した三橋和史市長が3日の初登庁の際に行った職員訓示の全文を市ホームページで公開した。三橋市長が問題視している現市議会と市の関係については、意見への対応や情報提供の在り方で、特定の議員にのみ重きを置かないよう求めている。
訓示の文章は3000字弱で、市ホームページの「市長の部屋」のページに、初登庁や訓示の様子をまとめた動画と共に公開されている。
議会への対応について訓示した部分では、三橋市長は次のように述べている。
「職員の皆さんにおいては、議員は、その一人ひとりが市民による直接選挙によって選出され、市民の負託を受けた代表者であることを認識し、その意見及び要望等への対応や市政に関する情報の提供のあり方については、決して特定の議員のみに重きを置いたり、特定の議員を軽んじたりすることのないよう、議員間に優劣を付けることなく、公正かつ公平に全て誠意をもって対応することを旨とし、これを実現するため市政上のあらゆる局面において可及的速やかに必要な措置を講じ、適切な対応を取っていただくようお願いいたします」
これまでの市政のどのような点が当てはまるのか明らかではないが、福岡憲宏前市長時代に川田裕議長の提案で設置された市長の諮問機関「市公有財産有効活用検討会議」(会長・同議長)を巡っては、「奈良の声」の取材で二元代表制の形骸化などの問題点が浮かび上がった。
検討会議の委員は、議長の助言で選任された一部の議員と市の各部局の長。会議は非公開で、委員以外の議員への検討内容の報告もなかった。こうした運営の下で、統廃合を伴う小学校再編や公立幼稚園・保育所再編の基本方針が検討され、市や市教育委員会の議案として議会に提出され、可決された。特定の議員だけが議会と執行機関の境界を越えて市長の方針決定に関り、議会への提案前にその内容を知っていた。
三橋市長の訓示は、議員への優劣のない対応を実現するため、できるだけ速やかに必要な措置を講じるよう職員に求めている。「奈良の声」は同検討会議の事務局を務める市企画政策課に対し、訓示を受け検討会議の今後の在り方について検討しているかどうか尋ねた。同課は「いずれ市としての方針を示す」と話した。