ヘイトスピーチ規制条例の制定を 奈良県議会議長に市民団体が要望書 根絶に向け思い伝える
ヘイトスピーチ規制条例制定を求め中野雅史奈良県議会議長(中央)に思いを伝える「実現する会」の加来洋八郎代表(左から3人目)ら=2024年8月9日、奈良市登大路町の県議会
奈良県内の人権問題などに取り組む16の市民団体でつくる「奈良県ヘイトスピーチ規制条例制定を実現する会」(加来洋八郎代表)は8月9日、同条例の制定を求める要望書と条例案を中野雅史県議会議長に提出、ヘイトスピーチ根絶に向けた思いを伝えた。
同会は今年5月にも同様の要望書を山下真知事と岩田国夫前県議会議長に宛てて提出しているが、その際には直接、議長に要望書を手渡すことができなかった。7月に議長が交代したことから、あらためて中野議長のヘイトスピーチに対する考え方を聞きながら、同会の思いを伝えたかったという。
この日は加来会長ら同会の8人が県議会を訪問した。中野議長に対し、県議会が2014年に衆参両院議長や内閣総理大臣などに提出する「ヘイト・スピーチ(憎悪表現)に反対しその根絶のため法規制を求める意見書」を全会一致で可決した経緯や最近のヘイトを巡る事件に触れながら「県で条例を作らないといけないと学習会を重ねてきた。いよいよ制定をお願いする時期が来た」と要望の趣旨を説明した。
中野議長は「インターネットなどを見ていると、ヘイトスピーチはとんでもない話。議会の各会派と要望書の情報を共有し、県当局とも話し合いながらもう一歩進めたい」と応じた。
同会が条例の内容として求めているのは、性別や障害などを含む差別全体に取り組む条例とすること▽罰金や加害者の氏名公表を含む制裁規定▽被害者からの通報受け付けと救済のための独立した第三者機関の設置▽インターネットのモニタリング(監視)など。