ニュース「奈良の声」のロゴ

地域の埋もれた問題に光を当てる取材と報道


浅野善一

奈良市役所入り口の無表示改善 バス・電車利用の来庁者念頭に簡易な案内

「奈良市役所」の案内が掲示された市役所正面入り口=2024年8月9日、同市二条大路南1丁目

「奈良市役所」の案内が掲示された市役所正面入り口=2024年8月9日、同市二条大路南1丁目

 奈良市役所入り口の「奈良市庁」の銘板が庁舎前の芝生広場整備に伴って撤去され、市役所が無表示の状態になっていたことに対し、市は8月9日までに、入り口前のバス停付近などに簡易な案内を掲示した。「奈良の声」は7月1日付の記事で無表示状態について指摘していた。

 案内が掲示されたのは、正面入り口前のバス停付近と芝生広場の南東角に新たに設けられた階段状の入り口の2カ所。「奈良市役所」などと印刷した紙をラミネート加工したものが板に張り付けられていて、大きさはA3判の2倍ほど。正面玄関の方向を矢印で示し、正面入り口の方には図面も添えた。

 市資産管理課によると掲示日は7月9日。バスや電車で市役所を訪れる人が分かりやすいようにと掲示したという。芝生広場整備の一環で、現在、バス停のある歩道を広げる工事が行われており、正面入り口の方の案内は工事用の柵に掲示されている。

 同課長は今後、正面入り口に奈良市役所であることを示す正式な物を設置するかどうかについては「デザインを含めて検討の最中」とした。

 「奈良市庁」の銘板撤去を巡っては、7月30日の市議会総務委員会(森田一成委員長、7人)でも中西吉日出委員(無所属)が「大変、違和感がある」と意見を述べていた。

 中西委員は芝生広場の整備に対し「疑問点はあったが」と批判的な立場を示しつつも「このような形になれば市民の皆さんの利用が広がることを期待せざるを得ない」として今後の事業内容についてただした。市は、敷地の一部でカフェ飲食を予定しているとし「新たな交流の場として地域のにぎわいの創出になることを期待している」と答えた。

 これに対し中西委員は「市役所を市民が訪れるのは、行政にいろんな目的で関りを求めて来られるのであって、潤いや安らぎを求めて来られるのではない」として事業について十分な検討を求め、その際に「正面の正門がなくなり、市役所の銘板もない姿は大変、違和感がある」と述べた。

 中西委員は「奈良の声」の取材に対し「県庁、市町村役場どこに行っても玄関には役所の名前が書いてある。門を全部取り払って中が見え、芝生広場も良いかもしれないが、何も表示がなかったらここはどこなのか、何の建物なのか分からない。訪れた人がここが本当に市役所なのかと(間違いないのか不安に)思う」とした。

 市資産管理課によると、市役所正面入り口の表示については当初、看板やオブジェも検討したが、開放的空間という芝生広場整備の狙いとの兼ね合いもあって、現在に至っている。広場は6月1日に利用が始まった。

関連記事へ

筆者情報

読者の声