入り口の仮表示ようやく解消へ 芝生広場整備後の奈良市役所 案内板設置決まる
現在の奈良市役所入り口の仮の案内表示。右奥に芝生広場がある=2025年2月20日、同市二条大路南1丁目、浅野善一撮影
芝生広場の整備に伴って「奈良市庁」の銘板が撤去され、小さな仮の表示だけとなっていた同市役所入り口に、正式な案内板がようやく設置される。「奈良の声」の取材に対し、市が明らかにした。市は、案内板が気軽に立ち寄れる開放的空間という芝生広場の狙いに影響してはいけないと考えていた。一方で、昨年11月に改定された市バリアフリー基本構想は「だれもが必要な情報を得ることができるように」との目標の下に「情報のバリアフリー」を掲げている。
仲川げん市長は、芝生広場を「誰もが気軽に立ち寄れる新しい市役所像」(市ホームページの市長コラム2024年5月号)の象徴と位置付けた。芝生広場の狙いとの兼ね合いから、担当の現場では案内板の在り方について結論を出せないまま、昨年6月、芝生広場の利用が始まった。以後8カ月以上、正式な案内板がない状態が続いていた。
市資産管理課長によると、「どこにどのようなデザインの表示をすれば芝生広場と調和させられるのか」が課題だったといい、検討期間が長引いた。
改定された市バリアフリー基本構想が掲げる「情報のバリアフリー」では、「障害の有無等にかかわらず、だれもが必要な情報を得ることができるように、行政、市民、事業者等が連携し、情報手段に配慮した取り組みを進める」と説明。案内表示の在り方について「弱視の方や色覚異常のある方にも見やすい、文字等の大きさやコントラスト、色使いに配慮したホームページや冊子、案内板等の作成を目指す」などとしている。
同構想は重点整備地区を設定していて、その一つ近鉄新大宮駅周辺地区には奈良市役所がある。官公庁は対象施設の一つに選定されている。
案内板は金属製で業者に発注済みという。設置場所は「奈良市役所前」バス停付近の市役所敷地の一角を予定している。市資産管理課長は設置時期について「できるだけ早く設置する」と話している。
「奈良の声」は昨年7月1日付の記事で入り口の無表示状態を指摘。市交通バリアフリー推進課は取材に対し「どなたにも市役所とはっきり分かるようにとの意見はその通りだと思う」と述べていた。仮の案内表示は報道後に行われた。
芝生広場では、一連の整備の一環として2月25日、市が誘致した飲食店が開業している。
奈良市役所の芝生広場=2025年2月20日、同市二条大路南1丁目、浅野善一撮影