「奈良市庁」銘板消え、無名状態に 庁舎前の芝生広場整備で撤去 取材受け仮の表示も検討
「奈良市庁」の銘板が入り口から消えた奈良市役所。右は整備された芝生広場=2024年6月27日、同市二条大路南1丁目
奈良市二条大路南1丁目の同市役所の正面入り口から「奈良市庁」の銘板が消え、市役所が無名の状態になっている。6月1日に利用が始まった庁舎正面の芝生広場の整備に伴い、銘板をはめ込んだ石積みの門が撤去されたためだ。市はこれに変わる表示を検討しているが、担当者は「奈良の声」の取材を受け、それまでの仮の表示についても「検討したい」と述べた。
芝生広場整備前の奈良市役所。「奈良市庁」の銘板が入り口にある=2023年3月、同市二条大路南1丁目
現状では、市役所正面の通りから見て、入り口にも庁舎壁にも「奈良市役所」の名前はない。
広場整備は、庁舎前の庭を気軽に立ち寄れる開放的な空間に変えることを狙いとして行われた。市は、庁舎玄関前のロータリーの噴水や庭の一角を覆っていた樹木、通りからの入り口の左右にあった石積みの門など、従来あった施設を撤去し、広さ1700平方メートルの芝生広場などを整備した。事業費は1億2500万円。工事は昨年9月から行われていた。
市資産管理課長によると、撤去された銘板は金属製で立て約45センチ、幅約2メートル。1977年の市役所開設当初から設置されていたものとみられる。これに変わる表示については当初、看板やオブジェも検討したが、一つには広場を開放的にしたいという思いもあったという。また、設置するにしても入り口か庁舎壁かいろいろな意見があるという。
ただ、市役所前の停留所でバスを降りた人向けの案内表示はあった方が良いとする。広場整備の一環で、バス停のある歩道を広げる工事が予定されており、これが終わる今年9月以降の設置を考えているという。
同課長は「奈良の声」の「仮の表示が必要ではないか」との取材に対し「貴重な意見。迷う人もいるかもしれない」と述べ、「一度、庁内で検討したい」とした。