天理・柳本飛行場跡の説明板撤去 韓国の市民団体代表ら「日本とアジアの国々の友好踏みにじる」
柳本飛行場跡の説明板撤去を考える勉強会で講演する宋道子さん(中央)と田甲生さん(左)=2015年10月9日、天理市守目堂町の市男女共同参画プラザ
朝鮮人の強制連行や慰安所の記述がある、奈良県天理市の柳本飛行場跡の市説明板が撤去された問題で、説明板撤去について考える会(米田哲夫代表)は9日、同市守目堂町の市男女共同参画プラザで、「韓国から異議!」と題して勉強会を開いた。韓国で日本軍慰安婦の被害女性が最も多かったという統営(トンヨン)市で、聞き取り調査を続けている市民団体代表と研究者の2人を招いて、話を聞いた。市民ら35人が参加した。
日本軍「慰安婦」ハルモニとともに行動する統営・巨済(コジェ)市民の会代表の宋道子(ソンドジャ)さんは、説明板について「平和な未来を映し出す鏡であり、天理の市民が自国の歴史を直視し、残そうと実践しているもの」と評価、撤去に対し「これに冷や水を浴びせ、日本とアジアの国々との友好を踏みにじるもの」と批判した。
宋さんは、慰安婦の帰国後の生活がどうであったかの質問には、ほとんどが法的な結婚をできず、苦しい生活を強いられたとし、何よりも性奴隷だったことを恥じて苦しんだと答えた。
ソウル大学アジア研究所の田甲生(チョンカプセン)さんは、最近、統営と巨済の小学校に保管されていた1940~44年の学籍簿を調査する機会があったと話した。12~17歳の女子生徒が自主退学して日本に渡ったとの記録が残っていたという。貧しい農家の子供たちとみられ、こうした子供たちが日本に行けば稼げるとの約束で、慰安婦として連れて行かれた可能性が高いと説明した。
宋さんはこの日、勉強会に先立って、「考える会」と共に天理市役所を訪れた。統営市や巨済市などで集めた説明板再設置を求める天理市長あての署名約1万人分や統営、巨済両市長と統営市議会の意見書を提出した。
柳本飛行場は太平洋戦争中の軍事施設で、天理市が95年、同市遠田町の公園内に設置した飛行場跡の説明板には、教員を中心とした市民団体の聞き取り調査などを踏まえて、飛行場建設の際に朝鮮人労働者の強制連行や朝鮮人女性の慰安所設置があったとする記述があった。しかし、市は2014年4月、「強制性については議論があり、説明板を設置しておくと、市の公式見解と誤解される」との理由で撤去した。【続報へ】