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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

二つの検討委、また非公開 奈良・平城宮跡県営公園整備 歴史体験学習館と南側地区

発掘調査が行われている歴史体験学習館予定地。奥は平城宮跡に復元された朱雀門=2022年10月、奈良市二条大路南3丁目

発掘調査が行われている歴史体験学習館予定地。奥は平城宮跡に復元された朱雀門=2022年10月、奈良市二条大路南3丁目

 奈良県が平城宮跡歴史公園(奈良市内)の県営公園区域の整備に向け、識者の意見を聞くため設置した二つの検討委員会の会議が2022年末にこれまでと同様、非公開で開かれていたことが分かった。一つは歴史体験学習館の整備に関する検討委員会、もう一つは南側地区の整備に関する検討委員会。いずれも運営要領では会議の原則公開を定めている。

 どちらの検討委員会の会議も非公開のため事前の開催告知はなく、県民は毎回、県のホームページで後日公開される議事概要によって開催を知ることになる。

 歴史体験学習館は平城宮跡入り口の朱雀門正面右手に計画されている。3棟で構成され、正面の建物は正倉院を模した外観にして、正倉院宝物の複製を見たり触れたりできる施設が検討されている。2026年度の開館を目指している。事業費は建設費や用地買収費など合わせて約50億円が見込まれている。

 同施設整備の検討委員会は、建築や地域振興、博物館、文化財などの専門家ら15人で構成され、増井正哉・大阪くらしの今昔館館長が委員長を務める。会議は2018年7月の第1回から非公開が続いており、2022年12月20日の第12回も同様だった。運営要領には「委員長が公平かつ中立な審議に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、委員会に諮って全部または一部を非公開とすることができる」とのただし書きがある。

 ホームページで公開されている第12回の議事概要によると、この日の議題は2022年度の事業の進め方▽コンテンツ基本設計案▽建築基本計画案▽遺産影響評価の方針案―の4件で、非公開の理由は「委員の率直な発言に支障が生じる恐れがあるため」だった。議事概要には委員の意見が箇条書きされているが、委員名は示されていない。

 また、資料も2022年度の事業の進め方のみ公開。県が示したコンテンツ基本設計案に対し、委員から「ジオラマは、メイン展示になるほど精巧に作れば人を呼ぶコンテンツになり得るが、現在想定されている精度・大きさ であるならば、観覧の妨げになるだけであり、エントランスにおくべきではない」との意見があったが、その元となるコンテンツ基本設計案や建築基本計画案は公開されていない。

 一方、南側地区では、大宮通り(県道)を挟んで朱雀門の向かいにある積水化学工業奈良事業所の跡地に、朱雀大路の遺構を生かしながら休憩施設や便益施設、駐車場などの整備を行う。2023年度以降の設計、着工を目指している。用地取得に要した費用は31億円。施設建設費は約25億円が見込まれている。

 同地区整備の検討委員会は、環境デザイン・庭園、文化・観光、考古学などの専門家や地元自治連合会長ら11人で構成され、田辺征夫・元興寺文化財研究所長が委員長を務める。会議は2021年12月の第1回から非公開が続いており、2022年11月11日の第3回も同様だった。運営要領には「県情報公開条例第7条各号(不開示情報)のいずれかに該当する情報について審議を行う場合など、委員会の判断により、全部または一部を非公開とすることができる」とのただし書きがある。

 ホームページで公開されている第3回の議事概要によると、この日の議題は南側地区の整備計画案とパブリックコメントの実施の2件で、非公開の理由は「未成熟な情報を公にすることで誤解や憶測を招く恐れがあるため」だった。議事概要には委員の意見が箇条書きされているが、委員名は示されていない。資料も整備スケジュール案のみ公開。

委員名簿、4年経て公開

 歴史体験学習館の検討委員会の名簿は長く非公開だった。「公開すべき」との「奈良の声」の指摘で県平城宮跡事業推進室がホームページに掲載したのは今年2月初め、第12回の議事概要を公開したときだった。第1回から4年以上を経ていた。南側地区の検討委員会の名簿は第1回から公開されており、同じ県営公園の整備でありながら扱いに一貫性がなかった。

 二つの検討委員会はいずれも県付属機関条例が定める付属機関の一つ。会議の原則公開は、付属機関を対象にした県の「審議会等の会議の公開に関する指針」に基づいている。指針は県政の透明性の向上、開かれた県政の推進を目的としている。

 県奈良公園室が担当する奈良公園地区整備検討委員会は公開で開かれてきた。2019年4月に開業した奈良公園バスターミナルの整備に関する審議では、施設の意匠や中身が委員の意見を受けながら固まっていく過程を、傍聴者は見ることができた。会議で毎回、傍聴者に配布された詳細な資料もホームページで公開されている。

 県平城宮跡事業推進室主幹は非公開の理由について「煮詰まっていない部分もあるため」と述べ、判断については「検討委員会の事務局である課内で行い、委員会に了承をいただいている」とした。 関連記事へ

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