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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

平城宮跡県営公園の検討委また非公開 工場跡地の南側地区整備 原則公開が名ばかりに

平城宮跡歴史公園南側地区の一角。現在は、公園整備が始まるまでの活用策で仮設駐車場として利用されている。奥は朱雀門=2022年4月28日、奈良市三条大路4丁目

平城宮跡歴史公園南側地区の一角。現在は、公園整備が始まるまでの活用策で仮設駐車場として利用されている。奥は朱雀門=2022年4月28日、奈良市三条大路4丁目

 奈良県が平城宮跡歴史公園(奈良市)の県営公園区域南側地区の整備に向け、昨年度、識者の意見を聞くため設置した検討委員会(委員長・田辺征夫元興寺文化財研究所長、11人)の会議が、これまで2回いずれも非公開だったことが分かった。

 2018年から開かれている同じ県営公園区域朱雀大路東側地区の歴史体験学習館整備の検討委(委員長・増井正哉京都大学大学院教授、12人)の会議も、過去11回すべて非公開だった。

 いずれの検討委の運営要領にも定められている会議の原則公開が名ばかりになっている。

 同市三条大路4丁目の南側地区は、平城宮跡の入り口である朱雀門の正面、大宮通り(県道)に面していて、広さは4万9000平方メートル。同所は積水化学工業奈良事業所の移転跡地で、県は2020年度に土地を購入した。同年12月に策定された県の平城宮跡歴史公園県営公園区域基本計画は、同地区の利用方針として、朱雀大路の遺構を生かした整備や休憩施設、便益施設、駐車場の整備などを示した。来年度以降の設計、着工を目指している。

 県平城宮跡事業推進室は県のホームページで、南側地区整備の検討委の規則、運営要領、委員名簿、会議の議事概要などを公開している。県は本年度中の整備計画作成を目標として委員の意見を聞く。パブリックコメントの実施も予定されている。第1回会議は昨年12月9日、第2回は今年3月17日に開かれた。

 第2回の会議では、整備計画(素案)の作成、概算工事費の算出、整備計画図(イメージ図)、建築意匠の基本方針などについて意見を求めた。

 議事概要によると、「オープンスペースを確保し、景観を活(い)かすといったコンセプトは良い。特に便益施設からの眺望の良さは、民間活力導入の際の付加価値となりうる」「遺構表示の解説は、看板ではなくデジタル表示とすべき」「ドライブスルーは、渋滞の原因となるなど、公園としては設置しない方が良い」などの意見があった。

 しかし、委員に示された資料や同室が委員に対し行った説明は公開されていない。このため、意見がどのような計画、案、図などに対して出たものか、ホームページを見ただけでは分からない。議事概要に出席委員の名前の一覧はあるが、意見ごとの発言者名は示されていない。

「未成熟な情報、誤解招く」

 第1回、第2回それぞれの議事概要は冒頭で、非公開の理由について「未成熟な情報を公にすることにより、県民等の誤解や憶測を招くおそれがあるため」などと記した。

 同検討委の運営要領は「委員会の会議は、原則として公開する」と定めた。一方で「県情報公開条例第7条各号のいずれかに該当する情報について審議を行う場合等、委員会の判断により、全部又は一部を非公開とすることができる」とただし書きを付け、非公開を選択することも可能とした。情報公開条例第7条は、開示の対象とならない情報を挙げている。

バスターミナル整備、傍聴通し計画の過程知る

 同じ県でも、奈良公園室が担当する奈良公園地区整備検討委員会は、公開で開かれている。2019年4月に開業した奈良公園バスターミナルの整備、2020年6月に開業した高畑町裁判所跡地の高級宿泊施設の誘致などを検討対象としてきた。

 バスターミナル整備では、傍聴を通して、施設の意匠や中身など計画が固まっていく過程を知ることができた。会議で毎回、傍聴者に配布された詳細な資料も、県のホームページで公開されている。

 「奈良の声」は昨年10、11月、歴史体験学習館整備の検討委が会議を非公開としてきたことについて記事で指摘した。これに続いて、南側地区整備の検討委も会議を非公開としたことから、あらためて平城宮跡事業推進室に聞いた。同室主幹は検討委の公開について「課内で検討する」と述べた。 関連記事へ

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