2014年5月14日 浅野善一

奈良県:奈良市・西ふれあい広場計画、土地所有者全てに伝えず? 特定一族の所有地のみ取得

 住民訴訟が起こされている奈良市の西ふれあい広場用地取得問題で、市土地開発公社が土地を先行取得した特定の一族以外の土地所有者に対し、市が計画を伝えていなかった可能性のあることが「奈良の声」の調べで分かった。取得に至らなかった土地の所有者が取材に対し、「計画地に含まれていることは知らなかった」と証言した。同計画に対しては、一族の土地の買い取りありきで進められたのではないかとの指摘がある。

 広場が計画されたのは同市二名7丁目の山林で、市が1994年3月にまとめた基本計画(96年3月に一部見直し)では、自然林を生かした障害者と健常者が触れ合える多目的な公園として、約8万7000平方の敷地に福祉センターや体育館、ゲートボール場、野球場、アスレチック広場、水辺の広場などを整備するとしていた。

 同計画で市が94〜2000年、実際に土地開発公社に取得させた用地は約4万8000平方メートル。計画面積の半分強にとどまった。計画地内の土地所有者は、当時の市の関係文書などから20数人いたとみられる。しかし、取得したのは市内の一族3人の所有地と県外の一族5人の所有地だけ。市内の一族の所有地が約4万1000平方メートルに上った。取得費用は全体で18億円余り。この一族には約16億円が支払われた。

 以後、土地の取得は行われなかった。理由はよく分かっていない。取得に至らなかった土地の所有者の女性は、公社がこの一族から買った土地に市が公園を計画していたことは知っていたとしたが、自分の土地が計画地に含まれていることは「取材を受けるまで知らなかった」とした。別の所有者の女性も「公園ができるといううわさは聞いていた」としたが、自分の土地が計画地に含まれていることは知らなかったとした。また、別の所有者の男性は「計画自体を知らなかったと」とした。

 市は96年、一族からの用地取得に当たり、隣接する同所有者らの土地との筆界確認を実施しているが、立ち会った同所有者によると、目的が公園建設であるなどの説明はなかったという。市関係者の一人は「計画があれば、少なくとも関係する土地所有者には声を掛ける。土地が計画地に含まれていることを知らないなんて、そんなばかな話しはない。計画を表に出さずに進めていたということか」と疑問を投げかける。

 同計画の発端は、この一族が91年、障害者福祉のためにと市に寄付した土地約2000平方メートル。進入路がなかったことから、周辺の土地を買い足して公園とする計画に発展したとされる。周辺の土地も一族の所有だったことから、計画地も一族の所有地が中心になったとみられる。市が一族の所有地以外の土地についても取得する意思があったかどうか、現在でははっきりしない。

 市土地開発公社経営検討委員会が2011年3月に公表した報告書は、同計画について特定の個人の便宜を図る趣旨があったのではないかとしている。土地の寄付は地元の市議を通じて持ちかけられたという。一族から土地を取得することになった件でも、この市議が「相続税支払いの負担を抱えている事情もあるので、土地を買ってやってくれ」という趣旨の依頼をしたという。

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