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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

奈良県)県営住宅入居時の連帯保証人要件改善 家賃債務保証業者の利用認める 条例改正、4月開始

 奈良県は4月1日から、県営住宅入居時に届け出を義務付けている連帯保証人について、国に登録している家賃債務保証業者の利用を認める。昨年12月に条例を改正した。県営住宅は、住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃で入居させるため設置される。これまで連帯保証人を見つけられず入居を断念していた人の入居の機会が拡大する。

 「奈良の声」は、県営住宅の連帯保証人要件を巡る問題を昨年3月から独自に伝えてきた。【これまでの記事】

 県は今回の条例改正よりさらにさかのぼる2018年3月の条例改正で、生活保護の利用者やDV(配偶者からの暴力)被害者、障害者、高齢者などの入居希望者を対象に、連帯保証人を免除できるようにした。しかし、「2親等内の親族がいない者」との条件を設けた。親族がいても連帯保証人を引き受けてもらえない場合もあり、条例改正の趣旨が十分に生かされない恐れがあった。

 国土交通省のホームページ上に公開されている資料によると、家賃債務保証では、入居者が家賃債務保証業者に保証料を支払うことで、家賃滞納時の立て替えなどのサービスを利用できる。保証料は、初回月額賃料の50%、以後1年ごとに1万円と設定している事業者が多いという。

 国の家賃債務保証業者登録制度は、家賃債務保証の業務の適正化を図るため、2017年に創設された。一定の要件を満たす業者に登録してもらい、その情報を公表することにより、業者選択の判断材料にしてもらう。

 県営住宅の入居承継時の連帯保証人要件を巡って争われた県の住宅明け渡し請求訴訟では、被告の女性は生活保護を利用しながら奈良市内の県営住宅に居住。離婚後に元夫から自身への名義変更で連帯保証人を見つけられず、昨年1月、県から明け渡しを求める訴えを起こされた。女性には2親等に当たる妹がいるが、断絶状態で連帯保証人を依頼できなかった。女性の入居承継が生じた時期は2017年で、連帯保証人免除の規定はなかった。

 奈良地裁は同年10月、女性に明け渡しを命じる判決を言い渡し、女性は大阪高裁に控訴している。4月16日に判決言い渡しの予定。

連帯保証人免除の要件 事情に応じ対応 県が明言

 県は3月10日の2月定例県議会建設委員会(田尻匠委員長、9人)で、県営住宅条例の連帯保証人免除制度の要件「2親等内の親族がいない者」について、親族がいても連帯保証人を依頼できない場合、個別の事情に応じて丁寧に対応していきたいとの考えを明らかにした。

 太田敦委員(共産)の質問に答えた。

 石井宏典・住まいまちづくり課長は連帯保証人について、身元保証や滞納防止の点で重要とした上で、生活保護利用者や高齢者などを対象に、連帯保証人を見つけることが困難な場合は特例で免除しているとした。2親等内の親族がいない者を要件にしたのは、民法上、2親等内の親族には扶養義務があるためと説明した。

 太田委員は「県営住宅が当たったのに連帯保証人を見つけられず、諦めなければならない人がいた。例えば、自分の子供でも数十年、会ったことのない子供に頼ることは物理的に不可能」と述べ、連帯保証人要件が足かせになっていると指摘した。

 これに対し石井課長は、2親等内の親族がいても「連絡が付かない」「人間関係のこじれ」などで依頼できない場合は、個別の事情に応じ丁寧に対応したいと明言、さらに、4月1日からは国の家賃債務保証登録業者も連帯保証人として認められるようになると述べ、2本立てで対処していくとした。【関連記事へ】

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