ニュース「奈良の声」のロゴ

地域の身近な問題を掘り下げて取材しています

発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

最新ニュースをメールで受け取る【無料】

浅野善一

香芝市議会側が即時抗告 議員の出席停止処分仮差し止めに不服

香芝市役所=2022年2月、同市本町

香芝市役所=2022年2月、同市本町

 奈良地裁が香芝市議会(川田裕議長)に対し、青木恒子議員(共産党)の出席停止処分を行わないよう仮の差し止めを決定したことについて、議会側はこれを不服として、14日までに即時抗告の申し立て書を地裁に提出した。

 青木議員の代理人弁護士が明らかにした。議会事務局も取材に対し、抗告を認めた。同事務局によると、抗告は9月8日付。地裁は差し止めを巡る裁判の記録を大阪高裁に送る。審理の場は高裁に移る。

 この問題では、昨年12月の市議会福祉教育委員会での青木議員の川田議長に対する発言が侮辱、名誉棄損などに当たるとして、議会は今年2月、陳謝文朗読の懲罰を科す議決をした。青木議員は、議会が作った陳謝文は内心の自由に反する内容だとして朗読を拒否し続けたが、4回目の陳謝拒否に対し、あらためて提出された懲罰動議を受け、市議会懲罰特別委員会は出席停止8日間の懲罰を科すとの報告をまとめていた。

 これに対し、青木議員は8月24日付で、議会が出席停止処分を行わないよう地裁に仮の差し止めを申し立て、地裁は「陳謝拒否をもって議員活動に対する制約の大きい出席停止の処分を科すのは、裁量権の範囲を超える」などとして、9月1日付で申し立てを認める決定をしていた。

 議会は当初、青木議員に対する出席停止処分の議決を、9月5日の定例会初日に行う予定にしていたが、見送っている。理由説明はなかった。

 青木議員は申し立てと同時に同内容の訴訟を提起しており、議会が抗告したことについて「本裁判になった方が、秘密会で行われてきた懲罰特別委員会の審議の経過が明らかになる」と話した。中井政友議員(共産党)は「議決を見送ったことだけでなく、差し止めのことすら議会で説明がない。本会議での説明を議長に申し入れたい」と話した。

抗告、議会で話し合いや報告なく

 抗告に当たり、川田議長が議会の全員協議会を開くなどして、議員に諮ることはなかったという。筒井寛議員(ejoy香芝)は「抗告するかどうかの話し合いも、抗告したとの報告もなかった」と批判。「抗告を議会の意思とされることは不本意」と述べた。 関連記事へ

読者の声

comments powered by Disqus