ニュース「奈良の声」のロゴ

地域の身近な問題を掘り下げて取材しています

発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

ニュース「奈良の声」が受賞 ジャーナリズムXアワード

最新ニュースをメールで受け取る【無料】

ジャーナリスト浅野詠子

料金3年ごと値上げの可能性も 見直し期間短縮 奈良県水道一体化の協議会で知事方針

県域水道一体化の企業団設立準備に向けた協議会であいさつする山下知事(中央奥)=2023年10月5日、奈良市内のホテル

県域水道一体化の企業団設立準備に向けた協議会であいさつする山下知事(中央奥)=2023年10月5日、奈良市内のホテル

 奈良県域水道一体化の受け皿となる県広域水道企業団(一部事務組合)の設立準備に向けた第2回法定協議会が10月5日、奈良市内のホテルで開かれ、山下真知事は企業団発足後3年ごとに料金を見直す方針を明らかにした。

前知事路線を踏襲、2025年事業開始

 荒井正吾前知事が主導した一体化企業団の料金方針は5年ごとの見直しを原則としていた。当時、一体化事務局の県水道局が行った30年間の試算では、廉価でスタート後に5年ごとに料金が値上げとなるが、25市町村が単独経営をするより値上げの幅を抑制できるとしていた。

 こうした料金見通しを山下知事は「甘い」と今年7月開催の第1回協議会で批判。会議後に取材に応じた知事は、5年から3年に期間を短縮して水道料金を見直す理由として「人件費や建設資材の単価が急速に値上がりし、インフレや金利の動向も不確定で、給水人口も予想以上に減っていく可能性などを考慮し、社会経済情勢に臨機応変に対応して料金を決めていく方が健全な財政運営ができる」と説明した。

 一方、事業開始後の料金試算や将来に向けての新たな料金シミュレーションは示さなかった。

 第1回協議会で知事は統合時期の見直しも示唆したが、変更は行わない考えを示し、荒井前知事が敷いたレール通り、統一料金によって2025年4月、県営水道と26市町村による垂直統合型の企業団が事業開始する方針を示した。

 参加市町村中、最も水道料金が安価な大淀町に対しては、前知事の方針通り、別料金(セグメント方式)が採用される見通し。

 田原本町の森章浩町長は「水道広域化の論議が前向きに進む」と会議後の記者会見で知事の方針を評価した。

 山下知事は、前知事が認めなかった不参加市町村(奈良市、葛城市)の途中参加を認める方向で参加条件を整理する。企業団議会の在り方を巡っては「給水人口規模を考慮した定数にしたい」と意欲を述べた。

会議一転、非公開

 この日の会議は前回会議から一転して報道陣に対し非公開で行われた。冒頭の知事のあいさつのみが公開された。知事は会議終了後のぶら下がり取材に応じた。 関連記事へ

読者の声