ニュース「奈良の声」のロゴ

地域の身近な問題を掘り下げて取材しています

発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

ニュース「奈良の声」が受賞 ジャーナリズムXアワード

最新ニュースをメールで受け取る【無料】

ジャーナリスト浅野詠子

法定の水道台帳10市町村が未整備 奈良県水道一体化、開示の会議資料で判明

市町村の水道施設台帳の整備状況などを示した県広域水道企業団設立準備協議会施設整備作業部会の会議資料

市町村の水道施設台帳の整備状況などを示した県広域水道企業団設立準備協議会施設整備作業部会の会議資料

 奈良県域水道一体化を協議している県広域水道企業団設立準備協議会(会長・山下真知事)で、協議に参加の26市町村中、10市町村が法定の水道施設台帳を整備していないことが、橿原市が「奈良の声」記者に開示した2023年4月の同協議会施設整備作業部会の会議資料から分かった。

 同市に開示請求したのは、2023年4月から12月にかけて開かれた施設整備作業部会の議事要旨と会議資料。市は一部を除いて開示した。

 同台帳には水道管の敷設年度や材質、施設の平面図など、水道事業を行う上での基本情報が登載されている。改正水道法は市町村や都道府県などの水道事業者に対し、2022年9月末日までに整備するよう義務付けている。

 会議資料によると、台帳が未整備だったのは御所市、広陵町、王寺町、河合町、田原本町、斑鳩町、安堵町、高取町、吉野町、明日香村。

 26市町村の各議会は2023年3月、広域水道企業団の設立準備協議が法定の会議に移行する重要な議案を可決した。事業統合する相手方の水道事情がじゅうぶん分かっていない状態で議決したことになる。大和郡山市議会は賛否が拮抗し、1票差で可決した。

 厚生労働省水道課によると、台帳の書式に規定はないが、作成方法を自治体に例示しており、電子化が望ましいという。

 会議資料によると、御所市は台帳が未整備で敷設年度が不明な水道管が約33%あり、不明管の一定割合が地震災害に最も弱いとされる石綿管。2023年4月の同協議会施設整備作業部会では、企業団の事業開始後は「(同市内の工事は)敷設年度の不明管から更新していく」との方針が県から示された。

同じ会議資料、県は開示延長

 記者は当初、橿原市が開示したのと同じ文書を県に開示請求した。しかし、県水道局県域水道一体化準備室は今年1月7日の請求に対し、開示・不開示の判断を通常の期限の2週間を超えて3月6日まで44日間、延長した。このため記者は1月30日、施設整備作業部会に参加している同市にあらためて開示請求した。市は2月9日付で開示決定した。

 同部会は、協議に参加する26市町村それぞれについて事業統合後の10年間でどの程度の予算規模の建設投資を行うか、工事計画をどうするのかなどを検討する重要な会議。事務局は県水道局と橿原市上下水道部が務める。2023年4月から12月まで計7回開かれた。 関連記事へ

読者の声