奈良県行政書士会長選、無効確認訴訟で反論 会「手続き上の瑕疵なく効力有効」
奈良県行政書士会=2024年2月、奈良市
奈良県行政書士会の昨年5月の会長選挙を巡り、会が告示連絡を電子メールで行ったことに対し、会員の全てに伝わっていなかったなどとして、会員の1人が会を相手取り、選挙の無効確認と損害賠償を求めた訴訟で、会は4月8日付で奈良地裁葛城支部に準備書面を提出、「手続き上の瑕疵(かし)はなく、選挙の効力は有効」と反論した。
原告の訴えによると、メール送信による告示連絡は会の会長選挙規則に違反しているという。規則は告示について、会の事務局(奈良市)に掲示するとともに「同一の内容を記載した文書を告示の7日前までに会員に送付しなければならない」と定めていることから、「メールを連絡手段として想定しておらず、文書の送付に該当すると解釈できない」と主張。
その上で「会は(メールを)選挙の告示内容の送付の目的以外で把握している、一部の会員のメールアドレスのみに送信した」と述べ、「有効なアドレス」を登録していなかった原告は告示の連絡を受け取れず、会長選挙への立候補の機会を奪われたと訴えている。
これに対し、会が提出した準備書面によると、告示連絡のメールはメールマガジン形式で送信された。会は選挙当時、会員474人のうち約70人のメールアドレスを把握していなかったことを認める一方、メール送信は「文書の送付」に当たるとした上で、「アドレスを登録するよう1年以上の周知期間を設けて再三呼び掛けを行った」と主張。
会は従来、運送会社の配達サービスを利用して紙媒体で会員に情報提供してきたが、2018年3月、ペーパーレス化への取り組みからメールマガジン形式に切り替える予定であることを会員に通知。メールアドレスなどの登録を呼び掛けてきた。2019年5月、紙媒体による文書の送付を終了する一方、希望者には有料で引き続き紙媒体で文書の送付が受けられるようにした。アドレス未登録の会員については「会からの情報を知る機会を自ら放棄していると評価される」とした。
また、会のホームページの会員ページに会長の任期満了による選挙についてお知らせを掲載したことなどを挙げ、「文書の送付は補充的。会員に送付されなかったことは重大な瑕疵に当たらない」などとし、「選挙結果に異動を及ぼす恐れはない」と訴えた。
同会長選挙では、黒田敬子氏が無投票で当選した。