奈良県行政書士会、今年5月会長選 告示連絡に紙文書の送付復活 「メール、全会員に伝わらず」指摘 裁判で明らかに
奈良県行政書士会=奈良市、浅野善一撮影
奈良県行政書士会の2023年5月の会長選挙を巡り、同会が告示連絡を電子メールで行ったことに対し、会員の全てに伝わっておらず立候補の機会を奪われたなどとして、会員の1人が同会を相手取り、選挙の無効確認と損害賠償を求めて提訴している問題で、同会は今年5月の会長選挙の告示連絡では紙文書の送付を復活していたことが分かった。奈良地裁葛城支部(西田政博裁判官)で9月24日にあった口頭弁論で明らかになった。
原告に届いた紙の告示連絡の文書は、2025年4月7日付県行政書士会選挙管理委員会発の「行政書士会会長の任期満了による選挙の執行について(お知らせ)」と題する会員宛てのもので、選挙期日を5月30日とすることや、立候補届け出の期間を4月16日から17日までの2日間とすることなど、選挙の執行に必要な事項が記されていた。
さらに投票日が近づいた5月15日付の「会長の任期満了による選挙について(お知らせ)」についても紙の文書が送付された。あらためて選挙期日や期日前投票などについて知らせる内容だった。
この日の口頭弁論で行われた原告本人への尋問で、原告は今年5月の会長選挙では告示に当たって紙の文書が届いたと述べた。会長の任期は2年で、過去の選挙については、2019年の選挙は紙の文書が届いたが、2021年の選挙は届かなかったと述べた。
一方、被告の行政書士会側からは2023年5月の会長選挙当時、選挙管理委員長を務めた会員の陳述書が提出された。それによると、同会員は、会として事務のペーパーレス化を会員に周知してきたことから、選挙の告示の連絡は2021年に続いて2023年についてもメールが前提という認識だったと述べている。
原告は閉廷後、「奈良の声」の取材に対し「(紙の文書の送付は)当然だと思う」と述べた。原告は同訴訟で、同会がアドレスを把握している会員は一部で、告示の連絡は会員の全てに伝わっていなかったと主張している。今年5月の会長選挙には2人が立候補し、稲本太一氏が当選した。
同会は原告からの指摘に対し、2024年1月の提訴に至る前から、メールと併せ紙の文書を送付することも含め対応を検討していた。今年2月9日現在の同会会員数は479人。
裁判は11月17日で結審の予定。
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