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浅野善一

奈良県安堵町、廃棄物処理補助金の違法支出「不起訴相当」 検察審査会付言「旧態依然の体質、脱却すべき」

奈良検察審査会がある奈良地裁=2024年5月、奈良市登大路町

奈良検察審査会がある奈良地裁=2024年5月、奈良市登大路町

 奈良県安堵町が町同和地区産業廃棄物処理組合に交付した補助金を巡る問題で、住民が町職員を背任の疑いで告発し、奈良地検が不起訴としたことに対し、同住民が行った審査申し立てについて、奈良検察審査会は9月25日、「不起訴相当」と議決した。一方で町組織に関し「旧態依然の体質から脱却すべき」と付言した。住民が「奈良の声」に明らかにした。同問題を巡る住民訴訟の判決では、組合への補助金支出は違法とされ判決が確定している。

 同審査会は住民への議決結果の通知書で「不起訴相当」とした理由について「不起訴記録、審査申し立て書、申し立て人提出の資料を精査した結果、不起訴処分の裁定を覆すに足りる証拠はない」としている。

 一方で同補助金交付の事務の在り方について「組織的に実態を把握することなく従来と同様の事務が行われてきたことも一因と考えられ、これは審査会として是認するものではなく、本件を機に綱紀粛正を図り、事務を見直すなどして組織全体として旧態依然とした体質から脱却すべきである」と付言した。

 審査を申し立てていたのは町住民の池田忠春さんで、申し立てでは、町長から補助金支出の権限を委ねられた交付申請の受理担当者は、組合名義の補助金交付申請に対し、組合に廃棄物を排出・処理した事実がないのに申請者の利益を図る目的で任務に背いて、2020年9月から2021年4月まで毎月27万900円ずつ、合計216万7200円を組合名義の口座に振り込んで、町に損害を与えた疑いがあるとしていた。

 池田さんが告発をしたのは2022年11月。これに対し奈良地検は2023年3月、嫌疑不十分で不起訴とした。池田さんが告発と並行して町を相手取り奈良地裁に起こしていた住民訴訟に対し、2024年1月、町の補助金支出を違法と認める判決があった。池田さんはこれを契機に「不起訴は不当」として、2024年4月、奈良検察審査会に審査を申し立てていた。

 町住民生活部長への取材では、町は地裁の判決後、同補助金交付について定めた町産業廃棄物排出業者補助金交付要綱を廃止したが、このほかの再発防止に向けた動きは確認できなかった。

 池田さんは「奈良の声」の取材に対し「真相の解明を期待していたので残念。付言の部分で町組織全体の問題とされたのが救い」と話した。池田さんは審査申し立て時に「本当に罪に問われなければならないのは、補助金を不正に申請し受け取っていた人物」として再捜査に期待していた。

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