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浅野善一

万博・奈良県催事のソファ廃棄、受け止め方は 博覧会協会「コメントする立場にない」 販売会社「通常使用の範囲内でメンテナンス方法を案内」

来場者が並ぶ大阪・関西万博会場の入り口=2025年8月3日、大阪市、浅野善一撮影

来場者が並ぶ大阪・関西万博会場の入り口=2025年8月3日、大阪市、浅野善一撮影

 今年5月、大阪・関西万博奈良県催事会場のソファ50個が催しの3日間だけ使用して廃棄された問題で、関係者の受け止め方はどうか。万博開催者の2025年日本国際博覧会協会は「持ってきたものは持ち帰っていただくことになっており、コメントする立場にない」とし、販売会社は「廃棄以外の選択肢として、通常使用の範囲内でメンテナンス方法を案内している」と述べた。

 同万博奈良県実行委員会が主催する奈良県催事の一つ「オール・ナラ・フェスティバル」は5月27~29日、屋外イベント広場「エキスポアリーナ」で実施された。奈良県催事は、大手広告代理店を代表企業とする共同企業体に委託されており、ソファは企業体側で購入したものだが、催し終了後に廃棄された。天気の影響で実際に使用できたのは2日間だった。県万博推進室は汚損状況や衛生面から廃棄したと説明。一方、同万博では「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」が掲げられており、それに向けた取り組みの一つに排出する廃棄物の削減がある。

 取材に応じた博覧会協会広報部によると、催事の主催者を対象にした「エキスポアリーナ利用ガイド」に催事修了後の注意事項として、会場に持ってきたものは持ち帰るとの記載があるといい、「ソファをその後、廃棄するかどうか、廃棄物に当たるかどうかは主催者の判断であり、協会としてはコメントする立場にないと考えている」と述べた。

 広報部は「利用ガイドでは、エキスポアリーナでイベントを行う場合、可能な限りごみを出さないような計画を立てていただき、ごみが発生する場合は持ち帰っていただくことになっている」と述べた。

 ソファは「ヨギボー」の商品名で販売されているビーズソファ。販売会社は、廃棄に関し相談や事前の連絡はあったかについて、「奈良の声」に対し「イベント終了後の廃棄に関し、事前におうかがいはしていない」と述べた。

 廃棄以外にほかの方法があったかについては「通常使用の範囲内において、汚損やビーズのへたりなどが生じた場合でも、廃棄以外の選択肢として、洗濯・リペア(修理)・ビーズ補充などのメンテナンス方法をご案内している。それらの対応方法は、弊社ウェブページにも掲載している」と述べた。

 「奈良の声」は、共同企業体の広告代理店の広報室に対しても経緯について尋ねたが、返事は「当社は事業を請け負っている立場であり、対応の窓口は主催者の県にしていただいている。回答は県と統一する」というものだった。

筆者情報

万博・奈良県催事の会場ソファ50個、3日間だけの使用で廃棄

今年5月の「オール・ナラ・フェスティバル」で会場のエキスポアリーナの人工芝の上に置かれたソファと利用する人たち=ユーチューブ「奈良県公式総合チャンネル」から

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