2014年6月24日 浅野善一

奈良県)奈良市・西ふれあい広場訴訟 進入路ない土地寄付、利用目的ないまま受け入れ 市側認める

 奈良市の西ふれあい広場計画で市土地開発公社に不必要な土地を高額で先行取得させたのは違法として、市を相手取り、当時の大川靖則・元市長らに損害賠償請求するよう求めた住民訴訟の第5回口頭弁論が19日、奈良地裁であった。市側は、計画の発端となった進入路のない土地の寄付を受け入れたことについて、受け入れを決めた時点では利用目的を決めていなかったことを認めた。

 同計画は、地元の地主が1991年、障害者福祉のためにと市に寄付した山林内の土地約2000平方メートルが発端となった。土地に進入路がなかったことから、周辺の土地を買い足して公園にする計画に発展したが、周辺の土地も大半がこの地主の所有だったため、94〜2000年、同地主から約4万1000平方メートルを約16億円で取得する結果になった。しかし、計画は頓挫し、土地は塩漬けとなった。訴訟で住民側は、計画は地主の土地を買い上げるためだったと訴えている。

 住民側は前回の口頭弁論で、「寄付土地は進入路がなく、山林で高低差も存在するなど、利用価値がほとんどない土地である」とし、「寄付採納決定寺に利用する目的が決まっておらず、採納をする正当な理由がないことは明らか」で、「(市は)寄付を受け入れること自体に意味があると考えていた」と主張していた。

 これに対し、市側は今回の口頭弁論で「寄付採納を決定した時点では寄付土地の利用について決めていなかったことは認める」と陳述した。ただ、「正当な理由がなかった」とする点などについては争うとした。

 一方、訴訟に補助参加人として加わっている地主側は土地を寄付した経緯について、親族が市総合福祉センター内の障害者の福祉作業所に通っていたが、この親族を含め、市西部から通う利用者にとって送迎が負担になっていたと述べ、「市西部にも福祉作業所をつくってほしいと思い寄付した。進入路はなかったが、寄付した土地のすぐそばまで造成済みだった。市から要望があればつくることは可能だったが、要望はなかった」と主張した。

 また、地主側は、住民側の訴えに対し「架空のストーリー」と反論、客観的証拠に基づき説明するよう求めた。

 市公有財産規則は、市が寄付を受けるときはその理由を明確にするよう定めている。当時の寄付申込書は、寄付の理由を「障害者福祉に寄与したい」としていた。しかし、市として寄付受け入れの方針が決まり、担当として寄付採納を起案した市厚生課の内部では、進入路がないことから、単独では使い勝手が悪く、どう使ったらいいのか思案したと、当時の市関係者はことし1月、「奈良の声」の取材に対し証言している。

 市が地主に交付した採納通知書に添付された事業計画書には、機能回復訓練のための農作業の場として利用していく計画とあり、福祉作業所の記述はない。

 口頭弁論では、同様に補助参加人となっている大川元市長側も陳述、「買収計画の立案から公社への土地買収委託契約のいずれの段階においても、議会や議員からさまざまな方法や程度で事前事後の監視監督があることも合わせ考えれば、市長が裁量権を逸脱したり、乱用する余地はない」と反論した。

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