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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一
浅野善一

県庁横の歩道撤去 県、さらに防止柵設置や看板追加を予定 車道歩く人絶えず

 奈良県が県庁横の奈良市道において車道拡幅のため歩道を撤去した問題で、県は2日開かれた県議会建設常任委員会(岩田国夫委員長)で、歩行者を隣接の広場通路に誘導する既設の看板に加え、さらに歩行者の車道路肩通行を抑制する防止柵の設置や注意喚起看板の追加を行う予定であることを明らかにした。同市道では歩道撤去後、危険な車道を歩く人が絶えず、すでに誘導看板を当初の倍に増やしている。

 県道路環境課の説明によると、防止柵は歩行者が車道に進入しないようにするもので、設置個所は歩道が撤去された区間の南北両端。それぞれにはすでに、「路肩を歩くのは危険です」などの注意書きと県文化会館広場通路への案内図を掲示した看板が立っている。

 車道拡幅工事が完了したのはことし3月。県は4月末ごろ、歩行者を誘導する看板を4カ所に設置した。しかし、「奈良の声」がゴールデンウイーク中の5月3日に現地で行った調査では、車道を歩く人の数は午前10時~午後4時の間で、1時間当たり最大約100人に上った。奈良公園前にある県庁の周辺は観光客でにぎわっていた。県は6月16日、看板の設置個所を4つ増やした。あちらこちらに看板が立つ結果になっている。

 同委員会はこの日、「奈良の声」が委員会あてに送ったメールを受けて、問題を取り上げた。道路環境課は車道拡幅の背景や目的、歩行者への安全対策について説明した。これに対し、岩田委員長は「委員長として特に問題ないと判断した。県は今後も安全確保に努めるように」とまとめた。委員から質問はなく、歩道撤去の是非などについて議論には至らなかった。

 同市道は、国の道路構造令やこれに準拠した市の条例の基準に照らせば、歩道の設置が求められる道路に相当する。代替の広場通路は任意の通路で、市道に含まれる歩道とはならない。

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