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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

登大路ターミナル、都市計画道路予定区域に主要建物 将来、撤去もあり得るのか 県民への説明が不足

県が公表した登大路ターミナルの想像図に都市計画道路の計画区域を示した

県が公表した登大路ターミナルの計画案に「奈良の声」が都市計画道路の計画区域を示した。手前がターミナル、左は県庁、中央奥は県庁分庁舎

 【視点】奈良県が県庁の東隣に、奈良公園の観光拠点施設として整備しようとしている登大路ターミナル。その主要建物の一つが都市計画道路の予定区域内に計画されている問題を考える。建物は将来、都市計画道路が具体化すれば撤去しなければならない。それには費用も伴う。ターミナルの主要施設なのに安定性を欠く。一方で建物は、撤去可能を前提としている割には、規模が大きく本格的。実際は、都市計画道路の方の見直しを念頭に置いているのか。県民に分かりにくい。説明が不足している。

 当該の都市計画道路は県が決定したもので、ターミナル計画地東側の国道369号を拡幅する計画。東西両棟のうち、東棟の半分以上が都市計画道路の予定区域内に含まれるとみられる。東棟は、ターミナルの主要な役割の一つとされる歴史文化学習機能を担う。

 東棟は鉄骨造り2階建てで、構造と階数を見れば、都市計画法の「容易に移転または除却できるもの」という建築の許可要件を満たす。ただ、ホールや展示施設を備え、南北は100メートル近くに及ぶ。要件に該当するかどうか、許可権限を持つ奈良市の審査を経なければならない。

 県はこれまでにどのような情報を公開してきたか。県はターミナル計画について、県の審議会、奈良公園地区整備検討委員会(委員長増井正哉京都大学大学院人間・環境学研究科教授、学識経験者ら12人)に諮り、意見を聞いている。委員会は公園整備を議題に2010年から10回開かれた。会議は公開で、委員への配付資料と議事要旨をホームページに掲載している。

 ターミナル計画に関する配付資料には、計画地にどのような法規制があるのか示したものもある。議事要旨にも、法的な手順を十分に踏まえるよう求める意見などが記録されている。しかし、主要建物の一つが都市計画道路の予定区域内にあることや、それに伴う規制にどのように対応しているのかは全く分からない。

 14年12月の第9回委員会では、ターミナルの完成予想図が初めて示された。建物の配置や規模が明らかになった。15年8月の第10回委員会では、より詳細な完成予想図が示された。記者はいずれの委員会も傍聴した。しかし、都市計画道路予定区域に関する資料の配布や県の説明はなかった。第10回委員会の資料に「地下1階(都市計画道路予定区域外に設置)」との個条書きが1行あるのみだった。

 記者は14年11月、県の委託で業者が同年7月にまとめた登大路ターミナル付属施設基本計画策定業務報告書を、県への開示請求で入手した。報告書では、計画地の平面図に都市計画道路の予定区域を示し、建築可能な階数や高さ、構造について検討している。また、ターミナルの概算事業費については約30億円と試算している。移転や撤去をすればさらに相当な費用を要する。

 県奈良公園室は「奈良の声」のこれまでの取材に対し、「東棟は都市計画法の許可の基準を満足する構造としている」と回答し、建築に問題はないとの見解を示している。一方、当該の都市計画道路の見直しを検討しているかどうかには、「都市計画道路は順次、見直しを実施しており、奈良市域についても、市と連携しながら必要性の検証などを行い、見直しに着手していく方針である」と、都市計画道路全般への対応について述べるのにとどまっている。

 奈良市は、「都市計画施設等の区域内における建築の規制」に関して、許可申請手続きの案内文書を作成している。その目的欄には「建築制限は将来の事業の円滑な施行を確保するために行われるもの」「極力、都市計画施設等の区域内での建築は避けるようお願いします」とある。県は都市計画道路の見直しを念頭に置いているのなら、それを県民に明らかにして手続きを進めるべきだ。

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