国道169号トンネル亀裂・地滑り対策工事 奈良県、検討会議事録の一部作成せず 録音は保有もルールなく
国道169号高原トンネル安全対策検討会の事務局がある奈良県庁分庁舎=奈良市登大路町
奈良県川上村の国道169号高原トンネルで見つかった亀裂の原因とされる地滑りの対策工事が同トンネル周辺で先月始まったが、県設置の専門家会議「国道169号高原トンネル安全対策検討会」(真下英人委員長、8人)の会議6回のうち2回分の議事録を、県が作成していなかったことが分かった。
記者が県情報公開条例に基づき開示請求して分かった。会議の録音テープはあるが、文字にしていなかった。6回分の議事概要は県のホームページで公開されている。残る4回分の議事録は開示した。議事録のない2回分についても音源を開示することは可能としている。
6回の会議は2018年12月からことし7月にかけ、県内や東京都内で開かれた。議事録が作成されていないのは昨年2月19日開催の第2回分と同3月15日開催の第3回分。
県に議事録作成のルールはなく、各課の判断。県道路保全課は、ホームページで公開している議事概要で足りるという認識だ。残る4回分の議事録を作成した理由は、公開することが目的ではなく、業務の遂行上、必要だったからという。第2、3回は議事録を作成する必要がなかったと話す。
公開されている議事概要は、発言者の氏名がすべて匿名であり、行政側が選んだ情報を要約したもの。これに対し議事録は、加工されていない会議の原情報といえ、県民や有権者らが批判的に読み解くこともできる。
同課によると、議事録と議事概要の保存年限は1年。
工事の現場は大滝ダム湖岸にある。同ダム湖岸では2003年のダム試験貯水以降、地滑りの発生や懸念による対策工事がたびたび行われており、今回で4カ所目。 関連記事へ