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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

識者の会議、11月も非公開 奈良県の平城宮跡歴史公園・体験学習館整備 運営要領の原則反映されず

県がホームページで公開している歴史体験学習館(右手前)のデザインイメージ。正面の建物は正倉院を模した外観が検討されている

県がホームページで公開している歴史体験学習館(右手前)のデザインイメージ。正面の建物は正倉院を模した外観が検討されている

 奈良県が平城宮跡歴史公園(奈良市)の歴史体験学習館整備に向け、識者の意見を聞くため設置している検討委員会(委員長・増井正哉京都大学大学院教授、12人)の会議が、過去9回すべて非公開だったことが「奈良の声」の取材で明らかになったが、このほど開かれた10回目の会議も非公開で行われたことが、県平城宮跡事業推進室への取材で18日までに分かった。

 各回の議事概要が県のホームページで公開されているが、記載されているのは意見の概要で、意見ごとの発言者名も明らかにされていない。

 同室主幹によると、10回目の会議は今月2日に開かれた。同主幹は非公開の理由について、これまでの会議と同様、「多くの利害関係者がおられることにより、委員の率直な発言に支障が生じる恐れがあるため」とし、今回についても「業者が持っているノウハウが議題になっていた。オープンにしにくい内容もあった」と述べた。

 同室は先月11日、過去9回すべてが非公開だったことについて、「奈良の声」の取材に対し「(歴史体験学習館に)導入するAIなどの最新技術やコンテンツの最新情報などにかかる資料や意見が公開されると、技術や情報を提供いただいた委員や法人などに不利益が生じる場合がある」と回答している。

 今回の会議を公開・非公開のいずれで行うかについては、検討委の事務局である同室で非公開とする原案を作り、増井委員長と協議したという。「奈良の声」が先月10日付記事(「平城宮跡歴史公園の体験学習館整備 識者の検討委、過去9回すべて非公開」)で、同検討委運営要領の原則公開の考え方が反映されていないと指摘したことについては、事務局内部で情報を共有しているとしたが、増井委員長には伝えなかったという。

委員の名簿公開なく

 同検討委会議の公開の在り方を巡っては、委員の名簿が公開されていないという問題もある。同室主幹は「公開している議事概要に出席者の氏名を載せている」とするが、役職名や欠席者の氏名は示されていない。県民は、県がどのような立場にある人物から意見を聞いているのか知ることができない。

 同室は以前に「奈良の声」が名簿の提供を求めたところ応じたが、議事概要と同様、誰もが閲覧可能なホームページに掲載されなければ、公開したことにならない。同室主幹は名簿の公開について、11月17日の取材で「やぶさかではない」と答えた。

 来年1月に11回目の会議が予定されている。

 歴史体験学習館は平城宮跡入り口の朱雀門正面右手に計画されている。3棟で構成され、正面の建物は正倉院を模した外観が検討されている。県は2026年度の開館を目指す。 関連記事へ

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