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ジャーナリスト浅野詠子

奈良県域水道一体化 参加への疑問相次ぐ 大和郡山市が市民説明会

市民から活発な意見が出た大和郡山市の説明会=2023年1月22日、同市北郡山町のやまと郡山城ホール

市民から活発な意見が出た大和郡山市の説明会=2023年1月22日、同市北郡山町のやまと郡山城ホール

 関係市町村としては最後に奈良県域水道一体化に参加を表明した大和郡山市は1月22日、市内のやまと郡山城ホールで市民説明会を開き、77人が参加した。料金が低廉で地下水による自己水源比率50%を維持している市営水道を評価する声が多く、参加への疑問の声が相次いだ。

 市上下水道部は、県の構想を踏まえ、水道施設の老朽化対策推進など人口減少時代を考慮した一体化の利点について解説したが、「参加すれば市の決定権がなくなってしまう」と懸念する声も出た。

 上田清市長は「(一体化受け皿の企業団参加で)水道職員の身分について議論できていないが、市は協議体の中で議論を進めていくことが基本」として主体的に企業団に参画する意欲を示した。

 一体化に参加した方が水道料金の上昇を抑制できるとする県のシミュレーションに対し、「根拠となる数字の一部を県は表に出していない」と批判する声もあった。

 2021年1月、一体化に向けた覚書を交わさなかった市が参加に転じた主な理由は、内部留保資金の多い同市にとって、持ち寄り資産のルールが有利になるよう、奈良市の離脱後に荒井正吾知事が方針を変えたため。市は1月10日付の市広報紙で「市には資金が優先的に配分される」などと、一体化参加のメリットを2ページにわたり紹介した。

 これについて会場の市議は「(法定協議会設置の賛否などについての採決を行う)3月議会を前に一体化の利点だけを強調するのは違和感がある」と批判した。

 このほかにも、「(市広報紙は)一体化で廃止になる市営北郡山浄水場のことに一行も触れていない」「県営水道の老朽化対策化はどう進められるのか公表されていない」「(一体化主水源の)大滝ダムは地質に課題を残す」などの疑問の声が上がった。

 「奈良モデル」の一環として荒井知事肝いりの県域水道一体化構想は当初、給水人口131万人の全国初の大型統合を打ち出し、6市の計11浄水場廃止などを目玉とする全体最適化を掲げた。しかし昨年、県営水道受水率の低い2市(奈良、葛城)が離脱し、構想は変更を余儀なくされた。県は企業団の事業開始を2025年度と定め、橿原市など26市町村水道と県営水道が統合される。 関連記事へ

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